ペットとの生活に関する記事

【獣医師が解説】ペットの病気編:テーマ「梅雨時のペットの健康」

そろそろ梅雨入りです。例年と比べると少し遅いような感じですが、およそ1か月間の雨の季節が始まります。この梅雨の期間のペットの健康管理準備を始めましょう。

【梅雨の季節】

電車の中がジメジメする、洗濯物が乾かないなど梅雨の季節の困り事はたくさんあります。ペットを飼っている皆さんでしたら散歩に行けないという意見もあるでしょう。

梅雨の季節の嫌な事

20~40代の一般男女300人を対象に日本気象協会が「梅雨の時期の嫌な事は?」というアンケートを行っています。これによると第1位:蒸し暑い(236人)、第2位:洗濯物が外に干せない(209人)、第3位:カビや食中毒が心配(145人)となっており、外出の予定が立てづらい、憂鬱な気分・ストレスがたまるという答えが続きます(tenki.jp ラボ調べ 2016年)。

これらの回答を年代別に見てみると、第3位の「カビや食中毒が心配」は年代が進むほど多数になる傾向があり、第5位の「憂鬱な気分・ストレスがたまる」では若い年齢層ほど多いという結果でした。

愛犬との散歩

「雨の日、愛犬と散歩に行きますか?」と聞かれた時、皆さんの答えはどうでしょう。愛犬オーナー4,352人の回答では、基本的に行く(33.9%)、基本的に行かない(66.1%)となっています(アニコム損害保険株式会社 2021年)。また別調査でも74.1%のオーナーは雨の日は愛犬との散歩に行かないと答えています(SBIいきいき少額短期保険株式会社 2019年)。

どうやらおおよそ70%のオーナーは愛犬との雨の日の散歩を控えているようです。この屋外で運動ができないことが背景にあるのでしょうか、オーナーの半数は梅雨時に愛犬はストレスを感じていると考えているとのことです。
スライド原稿②「梅雨の季節と愛犬」を挿入

【雨の日の散歩】

雨の日のペットの散歩は帰宅後汚れた足をきれいに洗い、濡れた被毛を乾かさなければならずなかなか面倒です。それでも全体の30%のオーナーは雨の中でも愛犬と散歩に出かけているわけですが、その理由は何でしょうか?

愛犬サイズとの関係

現在は小型犬が人気であるため、散歩中のペットとしてプードルやチワワをよく見かけます。しかし、雨の日ではこれら小型犬を見ることはほとんどないように思います。

アイペット損害保険㈱が行った調査では、小型犬オーナーの44.4%は雨の日には散歩に行かない、対して中・大型犬オーナーの82.5%は雨でも愛犬と散歩に行くと答えています(2016年)。柴犬やレトリーバーに比べチワワといった小型犬は体が弱いため、雨に濡れて風邪でもひいたら大変といったオーナー心理が働いているのでしょう。

散歩に行く理由/行かない理由

運動不足はペットのストレスを招きます。オーナーとしては少々の雨であれば愛犬を散歩に連れて行ってあげたいと考えるようですが、実際の理由は少し違うようです。

アニコム損保の調査の続きを見ると「雨の日に散歩に行く理由、散歩に行かない理由は?」という項目があります。これによると散歩に行く理由のトップ3は第1位:家でうんちができないため(32.6%)、第2位:家でおしっこができないため(22.7%)、第3位:運動不足解消のため(20.7%)となっています。対して散歩に行かない理由の第1位は家の中で排便ができるため(27.5%)でした。

ペットと散歩に行くといつもこの辺でトイレをする、いった経験はありませんか。これにはマーキングの意味がありますが、もう1つ便意には条件反射が関係していることがあります。自宅を出てからこれくらいの距離を歩くと腸が刺激され、見慣れたこのあたりで便意が来るといった条件が出来上がっているわけです。このため自宅ではトイレができないとオーナーは感じていると思われます。

【梅雨時期に増える病気】

冒頭に紹介したアンケートでは、梅雨の時期の嫌な事の第3位に「食中毒」がありました。食事は毎日のことであり、高温多湿な梅雨の季節はより食中毒予防に注意が必要です。ではペットにおいてもこの時期はお腹系の病気が多いのでしょうか?

消化器疾患

アニコム損保が公表しているデータを元に、病気のジャンルごとの年間総診断件数に対する月別割合を算出してみました(アニコム家庭どうぶつ白書2018)。まず気になる消化器系疾患ですが6月(8.4%)、7月(8.3%)となり、特に1年間において梅雨の季節にお腹をこわし動物病院で治療を受けることが多いというわけではないことが判ります。

これはペットの食事は多くのオーナーが市販のペットフードを与えているためと考えられます。ドライタイプは開封後にしっかりと保管すればカビが生える心配は少なく、パウチや缶タイプは食べきりであるためです。

皮膚疾患

では次に皮膚疾患を見てみましょう。皮膚疾患は1~3月の寒い間は6.3~6.8%ですが、その後暖かい春になると少しずつ割合は増えてゆき、梅雨の時期の6月(8.2%)、7月(9.9%)と一気に上昇します。その後気温が下がる11月頃まで10%台が続きます。

これらの数値から見ると、梅雨の季節に増える愛犬・愛猫の病気としては消化器疾患よりも皮膚疾患に注意を払う必要があると考えられます。

ノミ・ダニによる皮膚疾患

ペットの皮膚疾患には膿皮症(細菌感染による化膿性皮膚炎)やアレルギー性皮膚炎、真菌感染などがありますが、最も多いのは原因不明のものでイヌは17%、ネコでは20%ほどを占めています。

皮膚疾患の中にはノミ・ダニ・シラミといった外部寄生虫の感染によるものがあります。ノミ・マダニ等による皮膚疾患の月別診断割合では11~3月の寒い時期は5%以下ですが、4~5月になると急上昇し10月まで10~15%の割合が続きます。

このような推移は気温と湿度の上昇に伴ってノミ・ダニ類が増えるためですが、梅雨時の6~7月だけ若干数値が低下しています。ノミやダニはリビングのソファーやカーペット、布団や枕に棲みついているといいますが、家の中で感染するのであれば少し矛盾します。

ここで考えられる理由として、ノミ・ダニの元々の発生場所は公園の草むらなどの屋外であり、散歩から帰った愛犬が自宅に持ち帰って感染するのではないでしょうか?雨で外出を控える梅雨の時期にノミ・ダニによる皮膚疾患が減少するのはこのためと推察されます(あくまでも私見です)。

梅雨から夏にかけては気温と湿度が上昇し、被毛で覆われたペットの皮膚は蒸れやすい状態にあります。毎日のトイレのために雨の日でもペットを散歩に連れて行くオーナーの皆さんは、帰宅後の十分な被毛ケア・皮膚ケアをお願いします。

次回はノミ・ダニの発生やこれによって起こる病状についてもう少し詳しくお伝えします。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

獣医師 北島 崇

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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