「ねえ、ちょっと最近痩せたんじゃない?」
と言われて、「えっ?そう!」と喜ぶ人もいれば、「えぇっ?そう・・・?」と、不安になる人もいます。
痩せたいと思っている人にとっては嬉しいことばでも、痩せることで不安を感じている人もいます。
太りたいと思っていてもなかなか成果が得られず悩んでいる人が、「また、痩せた?」と聞かれて、「わたし、そんなに痩せてるの?」と、心配や不安を抱え込んでしまうことは往往にしてあることです。
これは人だけの話では無くて、愛犬にもあてはまります。
愛情をいっぱい注いで一生懸命に育てているのに、「うちの子は骨がゴツゴツしていて肉が無くて、痩せているけれど大丈夫かしら・・・」と、心配しているところへ、
「ちょっと痩せすぎてない?」――― と、そんなことばを人から言われたとしたら・・・。
「やっぱりみんなそう思っているんだわ」「まさか・・・何か悪い病気かしら?」と、心配や不安になり悩みの種を生むかもしれません。
そんな悩みの種が、飼い主さんの心の中で芽を出し育ってしまわないように、「痩せすぎ」にどう向き合えばいいのかを、いっしょに考えていきましょう。
目次
愛犬の「痩せすぎ」って、どういう体型や状態なの?
環境省のHPに、『犬の体型(BCS:ボディ コンディション スコア)』について書かれているページがあります。
その中から抜粋してみると
理想的な体型
●過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。
●上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。
●横から見て腹部の吊り上がりが見られる。痩せ
●肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。
●触っても脂肪が分からない。
●腰のくびれと腹部の吊り上がりが顕著。
とあります。
「痩せ」型の傾向をもう少しわかりやすく表現してみると
*肋骨、腰椎、骨盤の骨がはっきりと浮き出て見える。
*脂肪が有るのか無いのか付き具合がわからない。
*腰のくびれや腹部の凹み具合がくっきりとわかる。
あなたの愛犬は、どうですか?
もし、ひとつでも該当したり、それに近かったりしたら気になりますね。
そこで、どうしてそのような痩せた体型なのか、またはなぜそうなってしまったのか原因を知ることが大切です。
痩せすぎ傾向の7つの原因
「痩せすぎイコール体に悪い」とついつい考えてしまいがちですが、自己判断する前に大切なのは、愛犬の様子をよく観察することです。
機嫌はどうですか? ―― 元気に過ごしていますか? YES or NO
食欲はどうですか? ―― おいしそうに食べていますか? YES or NO
毛の艶はどうですか? ―― つやつやと輝いていますか? YES or NO
目の輝きはどうですか? ―― 目力があってキラキラしていますか? YES or NO
太る体質の犬、痩せる体質の犬もいますから、機嫌がよくて食欲もあって毛艶もよくつぶらな瞳がいきいきしているのなら、飼い主さんの取り越し苦労かもしれません。
でも、毎日の様子を観察していて
「どうみても元気とは言えないわ」「食欲がどうもなさそう」「食べているのに痩せているわ」「老犬だから仕方ないのかしら」「環境が変わったからかしら」「元気そうなんだけど、ガリガリだわ」
と、思い当たるものがあるとしたら、その原因を突き止めて対処しなければなりませんね。
①摂取カロリーと消費カロリーのアンバランス
・年齢に応じたフードの給与量に従っているが、その摂取カロリーをオーバーするくらい体を動かし消費している場合。(給餌量はあくまで目安となるため、目の前の愛犬の体重の増減を見ながら適宜調節していただく必要があります)
②食べる量が極端に少ない
・年齢に応じたフードの給与量に従っているが、食べ残しや摂取量が少ない場合。
③食べているものが合わない
・下痢やおう吐をする場合。(下痢はストレスが原因の場合もあります)
・食材によって太りやすい、太りにくいなどの体質差がある場合があります。その子にとってカロリー吸収が苦手な(血糖値が上がりにくいなどの)原材料が使われているのかもしれません。
④栄養失調
・栄養をうまく体に取り入れられない場合。
⑤高齢(老犬)
・脂肪や筋肉量の減少や食欲や消化吸収の低下による場合。
⑥食に欲がない
・「今食べなくても、次にまたもらえる」という悪い習性を犬が学習していまい習慣化してしまう場合。
⑦肉体的、精神的ストレス
・過度の運動、無理矢理な散歩、環境の変化、家族の不和不仲、体調の変化などによる場合。
7つの原因の中の⑦のストレスに関しては、すぐに解決できない問題も含まれていますが、それ以外のケースについて共通するのは、すべて「食事・食べもの」というキーワードが明確に示されているということです。
痩せすぎと生活リズムの関係
愛犬が食事を喜んで食べるには生活のリズムも大事になってきます。その中でも散歩はとても大事で外の空気に触れる、いろいろな匂いの刺激、日光に当たるなど散歩には良い事が沢山あります。そして必ず散歩の後に食事というリズムを作ってください。そうすると愛犬は散歩が終わると食事と覚えるのでリズムが生まれます。散歩でうんちを出して食事を入れる。単純なことですが逆になっては消化器に与える影響もまるで違ってきます。散歩が嫌いな愛犬は遠くまで連れて行って家に帰るだけを繰り返すと好きになる愛犬もいます。毎日の散歩は飼い主さんの健康にもよいので是非、毎日の習慣にしてください。
痩せすぎと食事の関係
そもそも「太りすぎ」や「痩せすぎ」の原因は、食べものの影響をとても強く受けています。
要は、栄養の摂取と消化吸収のバランスの問題かもしれません。
特に、食べものがスムーズに消化吸収されることは重要なキーポイントとなります。
「栄養価が高く消化吸収の良い食べもの」を取ることは、体調を整えて理想の体重や体型へと近づけることができますし、またそれに加えて適度な運動、ストレスの無い環境などが満たされてこそ、総合的な健康体が作られるといえるでしょう。
そこで、最も注目したいのが「食事」です。
犬にとって大切なのは、タンパク質・脂肪・ビタミン・ミネラルなどです。
たいていの飼い主さんは、愛犬の食事には「ドライフード」を与えている方が多いと思います。
ドライフードは総合栄養食ですから、それと水さえあれば必要な栄養は摂取できるはずです。
しかし、毎日ドライフードを与えても体重がなかなか増えない・・・となると、どうしたものかと思案しますね。
「タンパク質」は、体を作り生命活動を維持するのに欠かせない栄養素です。
肉や魚介類に含まれる動物性タンパク質や、豆類や穀物に含まれる植物性タンパク質があります。
しかし、ドライフードに含まれているタンパク質は、高温で加熱処理されていて吸収率が悪く、酵素は死滅しています。
本来、酵素は消化吸収を助ける大きな働きをしているのですが、加熱処理されては消化吸収の役目を果たすことができません。
そのために、消化しきれないものが胃や腸に残ってしまう場合もあります。
せっかくの栄養もちゃんと吸収できなければ血肉となってはくれませんし、また、消化しきれないものは、体の中で滞ってしまって体に何らかの悪影響を与えたりもします。
また「脂肪」は、エネルギー源として大切な役割をもち、過剰な分は体脂肪として蓄積されます。
脂質には、体内で作ることのできない必須脂肪酸があり、これは成長を刺激し皮膚と被毛の状態を整えます。
この必須脂肪酸には、リノール酸のオメガ6とαリノレン酸のオメガ3があります。
体内では作り出せないこれらの脂肪酸は、食べものをとおして摂取するしか方法がありません。
脂質もちゃんと消化吸収されてこそ、その栄養素が本来持つ役割を果たすのです。
粗悪な原材料の油脂はさけ、消化吸収のよい脂肪を適度に取ることが体重バランスを保つには必要とされます。
そして「ビタミン」は、油脂に溶ける脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)と水に溶ける水溶性ビタミン(ビタミンB群、C)の2種類があります。
水溶性ビタミンは尿などから体外へ排出されやすいので頻回摂取するとよいですし、また脂溶性ビタミンは体の中に蓄積されやすいので、油といっしょに取ると吸収がよくなります。
しかしながら、ビタミンは50℃以上で破壊されてしまうものがほとんどです。
ですから、ドライフードの原材料に本来含まれている「ビタミン」は、残念ながら50℃以上の熱処理をして加工されていますから、その栄養は破壊されてしまいます。(栄養添加物のビタミン類は加熱処理後に添加されますが、合成ビタミンの場合が殆どです)
ですから低温処理もしくは熱処理のされていないものを摂取するとよいですね。
こうしてみると、食の細い犬や虚弱な犬、老犬など痩せすぎの犬には、少量でしっかりと栄養が取れて体に負担をかけないように、短時間で消化吸収できるものを与えてあげたいものです。
高タンパク、高カロリー、高脂質なものを少量与えることで体重の増加へと導いていくことができれば理想的といえるでしょう。
要は栄養価が高くて体に良いものを食べ、それらがしっかりと消化吸収されてこそ体重と体型は理想へと近づいてゆくのだと思います。
では、いったいどのような食べものを選べば、体重を増やすことができるのでしょう。
体重の増加に試したい食べもの
ヤギミルク
特徴
・ヤギは飼っている国や地域には差はあるものの、草はもちろんのこと木の葉や樹皮や低木などを食べているので、他のどのような家畜よりも微量元素(鉄・亜鉛・銅など)多種多様な栄養分を摂取するため、とても栄養価が高いのです。
・ビタミンA、カルシウムが豊富(豆乳の5倍)で、また牛乳の約20倍のタウリンを含んでいる。
・ビタミンAは抗酸化作用や成長を促進し、カルシウムは骨や歯の形成に役立つ。
・タウリンは肝機能の向上や脂肪分解促進の働きをする。
・牛乳を飲むと、お腹がごろごろしたり下痢や胃痛を起こしたりするのは、カゼイン成分のαカゼインがアレルギーを引き起こす原因タンパク質ともいわれているが、ヤギミルクにはαカゼインがほとんど含まれていない。
・脂肪球の大きさが牛乳に比べて約6分の1ととても小さく、水に溶けやすく体に吸収されやすいため胃腸にとてもやさしい
・脂質を比べてみても4倍ほど速く消化吸収されるので効率よく栄養を摂取できる。
・幼犬や老犬はもちろん虚弱な犬にも安心して与えることができる。
使用方法
※搾った液体のヤギミルクは入手が難しく賞味期限も短いですから、スキムミルク(粉状)にしたものを
購入することをお勧めします。
●40度くらいのお湯で溶いてそのままミルクとして飲ませる。
●ドライフードなどの上に粉のまま振りかける。
●手作り食の汁やスープとしてミルク風味の調味料代わりに使う。
●生肉に振りかける。
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オメガ3オイル
特徴
不飽和脂肪酸「EPA」と「DHA」を豊富に含み、少量で多くのエネルギーを効率よく取ることができる。
青身魚・えごま油・亜麻仁油などに含まれる。
・血液をサラサラにしたりコレステロールを低下させたり、皮膚のかさつきや被毛の成長を促したりする働きがある。
・青魚のほんのりとした匂いが食欲をそそる。
使用方法
●ドライフード、手作り食、生肉にそのまま数滴トッピングする。
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イーストスリム(乳酸菌サプリメント)
「イーストスリム」は聞き慣れないことばですが、「乳酸菌」といえばよく耳にしますね。
その乳酸菌のサプリメントの名称が「イーストスリム」なのです。
乳酸菌を含む食材と言えば、ヨーグルト、チーズ、お味噌、納豆などがあります。
特徴
・善玉菌の増殖を助けたり免疫力を高めたりして、ウィルスに強い体を作る。
・乳酸菌が悪玉菌を減らし発酵を促すことで、整腸作用やアレルギーに対する働きをする。
・整腸作用により消化吸収や排便がスムーズになる。
・十分な栄養が吸収されると少量の給与量で満足できる。
・腸内環境が整えば、余分な老廃物が排泄されるので、皮膚や被毛によい影響を与える。
使用方法
●ドライフードにトッピングする。
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生肉
特徴
・生肉はビタミン、ミネラル、たんぱく質、乳酸菌、酵素などを含んでいる。
・消化を助ける酵素が豊富に含まれているので、短時間で消化吸収され胃腸への負担が少なくてすむ。
・生肉は加熱処理していないので、栄養をそのまま消化吸収できる。熱に弱い様々な栄養が含まれている。
・生肉の中でも高タンパク、高カロリー、高脂質の肉と言えば「シシニク」や「皮付き」。
少量で十分なカロリーが取れ、消化を助ける働きがあるので、痩せている犬にはとても相性がよい。
使用方法
●いつも与えているドライフードの量を2割程度減らして、その分生肉をトッピングする。(生が不安、という場合は軽く火を通してあげてください)
●手作り食として野菜や果物をいっしょに調理する。
●生肉にヤギミルクやオメガ3をかける。
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愛犬のお手軽手作り食
生肉を与えたことがないという飼い主さんへ、まずは簡単な手作り食から始めてみませんか?ドライフードの食いつきが悪いという愛犬に食事の楽しみを教えてあげてください。
決め手は、消化吸収力!
こうして痩せすぎの犬には、どのようなものを試せばいいのか突き詰めて考えてみると、いかに「消化吸収」の良いものを選んで給与するかというところに行きつきます。
痩せている犬は消化吸収の機能が弱いことが多いため、量さえ食べさせれば・・・と頑張る飼い主さんの思いとは逆に、かえって愛犬に負担を強いることになります。
また、体に良いものをと思って高いドライフードやウェットフードに変えてみても、原材料の見極めが不十分なために消化吸収の悪いものを与える羽目となるかもしれません。
痩せているからともかく太らせるという到達点ではなくて、筋肉や骨を作ることで健康的な体作りをするという目標を立ててはいかがでしょう。
そのためには、消化吸収にすぐれた食べものを選んで与えてあげることが何より。
食べることの喜びや楽しさを愛犬とともに感じながら、少しずつ少しずつ進んでいくことです。
一足飛びに結果を求めないこと!
前項の『体重の増加に試してもらいたい食べもの』でご紹介した「ヤギミルク」「オメガ3」「イーストスリム」そして「生肉」のいずれも体にやさしくて消化吸収のよいものとして取り上げています。
その中でも特に、「生肉」においては、少量の給与量で良質のタンパク質、カロリー、脂質が取れるうえ、短時間で消化吸収ができる好条件の揃った食べものです。
生肉にドライフード、ヤギミルク、オメガ3、イーストスリムのいずれかを組み合わせて試してみたり、また、時間にゆとりがあるときは、それらの食材を使った手作りに挑戦してみたりすることもお勧めします。
一喜一憂することなく健康的な愛犬との生活がこの先もずっと続くことを願っています。
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愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修
代表取締役 川瀬 隆庸
- 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
- 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
- ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
- 小動物栄養管理士認定
- D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
- 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
- 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了
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