「愛犬とのんびりと暮らしたい」という思いから、川瀬隆庸(かわせ・たかつね)社長が1989(平成元)年4月に開業した「帝塚山ハウンドカム」は、愛犬・愛猫の食事から健康、ファッションまでをトータルにサポートするホリスティックケアショップの先駆けとして発展しました。2014年、7階建ての“自社ビル”に移転し現在に至っています。
従業員2人で10坪のペットショップ・トリミング店は従業員20人、年商6億の企業に成長したのです。
見よう見まねでネットへ進出
今年3月には関西でITを活用し優れた業績をあげている中堅・中小企業を紹介する「関西IT百撰」で2016年度の「優秀賞」企業として表彰されるなど、時代の流れにも対応しています。
川瀬社長によると…。
「ネットへの進出は2000年ごろ。『これからはネットやで』という声も聞こえてきましたし私自身もホームページはあったほうがいい、という気持ちはあったのです。でも店にパソコンはありましたが、私は“さわれる”というレベル。簡単にネットショップが始められるというネットサービスのパッケージのようなシステムを使って見よう見まねで始めました」
ところが…。
「さっぱりです。人件費を考えたら赤字という状態で5年間やってました。ところが、大手のインターネットショッピングモールに出店した知り合いから『1カ月で100万円ぐらいの売り上げはすぐやで』という話を聞いて、とにかく、わけがわからんけど(ネットが)分かる人間を雇わなあかん、ということになって、どんな人材が“分かっている”のかも分からないままに、ネット担当者を採用し、ネットのショッピングモールで販売を始めました」
そうすると…。
「2カ月目で売り上げが、それまでの2倍になりました」
その流れで自社サイトも開設、さらに他のネットサービスにも出店。ネット販売は収益を向上させ、さらにハウンドカムが成長するさらなる礎(いしずえ)となりました。
コンセプト実現のための「誓い」
レンタルレコード店「回盤堂」を始めた経緯など、「楽しい道草」でたどってきた“足跡
”からも分かるように川瀬社長に世の中の流れを読んで、素直に様々な意見に耳を傾けながら実行に移す才能があるようです。喘息(ぜんそく)発作で苦しんで「廃業」という文字すら脳裏に浮かんだピンチをチャンスに変えたのも、それを証明しているのではないでしょうか。
「売れたり人気があったりするだけの商品を販売する気はない」と川瀬社長が強調する商品選択基準の厳しさもハウンドカムが存続・発展してきた理由に違いありません。つまりビジネスの成長には顧客や社会、そして自分自身への誠実さが不可欠だということでしょう。
それを象徴するのが「あなたの愛犬が元気に20歳まで生きるために」というハウンドカムのコンセプトです。
このコンセプトを実現させる姿勢として川瀬社長が掲げるのが「5つの誓い」です。
まず、第一に、長年の経験や実績を活かし愛犬・愛猫と顧客の役に立つという「プロショップとしての誇り」。そして薬や手術だけに頼らない自然治癒力の高い体作りを提案できる「元祖・ホリスティックケアショップ」としての責任。
3番目が「愛犬の健康を考えた商品と情報の提供」。
そして、ナチュラルな食事や、運動こそアンチエイジングという考え、愛犬・愛猫の精神の安定を軸とした「『20歳まで生きる』ために大切なこと」の提唱・推進。最後に「食に徹底的にこだわります」という思いです。
道草も栄養に
建築デザイナーとして社会に歩み始めた川瀬社長がレンタルレコード店経営での成功を経てペットの世界で新たな可能性を開拓してきた川瀬社長の足跡をたどってきた「楽しい道草」はいったん小休止。
「道草」も“栄養”になることを実感していただけたのではないでしょうか。
とはいえ、まだまだ川瀬社長のプロローグ(序章)のようなものです。ハウンドカムの本格的な前進はこれから。そんな「本番」での“道草”の報告を楽しみに待っていてくださいね。