「帝塚山ハウンドカム」の川瀬隆庸社長が「リードバディー」の森伸一郎専務をお招きして繰り広げる、こだわりのペットフード談義の第4回目です。とりあえずの最終回となる今回はドライフード「トライプドライ」の輸入・販売を手がけている森さんの今後の計画や愛犬家の方々への思いのほか、ワンちゃんの健康管理などがテーマとなりました。
課題はフードのサイズ
川瀬: 今後の展望を聞かせていただけますか?
森: アメリカなど海外でも、やはり日本と同じように今、猫関連の市場が大きくなっているので、猫ちゃん用のものも検討し始めています。
一部はすでに出ているのですが、それをもっと拡大させようか、と思案しているところです。
それから、まだ公表していませんが、「トライプドライ」シリーズの商品の種類はどんどん増えて行く予定です。
先ほど川瀬さんが、お客さまの90%くらいが「ワンちゃんが喜んで食べてくれる」とおっしゃるという、お話をされましたが、残りの10%を何とかしたいなという思いが、まず、あります。
そのために飼い主さんが商品を選ばれる段階で「これはどうかな?」と感じるのを避けるためにも日本の市場に合わせた、もっと小粒サイズの商品の検討に入っています。
川瀬: 製造元に特注することになるんですね。
やはりお客さんのなかにはそこにこだわっている方も多いんです。
海外市場のスタンダードのサイズは日本より少し大きいので、「トライプドライ」も、お客さんから「粒が小さいのはないですか?」と、よく聞かれます。
買って帰ってワンちゃんが食べたら店で不安感じていたとしても「食べたわ」って納得されるのですが、飼い主さんが選ぶ段階で「ふだんあげてるのより大粒やけど大丈夫かな?」となって、その前の躊躇(ちゅうちょ)につながるんですね。
森: そうでしょうね。
北米と日本のワンちゃんでは体格が違うので、1カ月で食べる量も違いますので、袋に関してはすでに販売しているも商品にも日本だけのサイズがいくつかあります。
次は粒を小さくしてみようかな、というわけです。
おやつでコミュニケーション
川瀬: 犬の高齢化も関係していて歯が悪くなると、粒が大きいのは食べないということも実際にあるようです。
森: 噛み砕けないですもんね。
お湯で溶かして食べられるように粉にする専用のミル(粉砕機)を作ろうかという案もあるんですけどね。
川瀬: ミキサーで細かくしておられる方もいらっしゃいますね。
ところで、トライプを使った、おやつを取り扱う予定はないのですか?
森: 予定しています。
すでに商品はあるのですが、おやつになると含まれる水分量がドライフードよりも多くて検疫のレベルが上がるので、それをクリアしてからです。
川瀬 おやつは、コミュケーションツールとしても大切ですよね。
飼い主さんは単に食べ物としてだけではなく犬とふれあう機会としておやつを使っている場合が多いですからね。
森: あとはご褒美(ほうび)ですね。
人間と一緒に生活するうえでのルールをちゃんと守ってくれたときに、喜びを伝える効果もありますからね。
それから、お客さまの声に関してはアレルギーの悩みなども耳に入ってきますが、川瀬さんのほうはいかがですか?
川瀬: アレルギーについては、光に反応したり、蚤(のみ)に反応したりというケースも聞きますが、食べ物では鶏肉や小麦などが原因になっていることが多いようですね。
森: 多いですね。
健康維持に一番大切なこと
川瀬: 「トライプドライ」は穀物などの植物系の材料は不使用なので、アレルギー対策に使いやすしですし、鶏肉が入っていない商品もありますから、鶏肉アレルギーといわれたら、サーモンの「トライプドライ」などをお勧めしています。
森: サーモンの「トライプドライ」は羊(ひつじ)の胃袋とサーモンの肉を入れています。
川瀬: そういう面でも「トライプドライ」は、お客さんからいい声をいただきますから、よくできているフードだと思います。
健康管理と食事の関係は深いので、同じ傾向のフードでも選択肢の多様さが大切です。
森: 人間でしたら肉食や外食が続くと、なんとなく「サラダでも食べといたほうがいいかな」とか「サプリでも飲んでおいたほうがいいかな」と自分で調節できますが、ワンちゃん、ネコちゃんは飼い主さんが選んだものを食べるしかないので、人間よりも食べ物から受ける影響が大きいはずなんです。
そういう意味でも飼い主さんがしっかりいいものを選んでないと健康寿命を得ることはできないんじゃないかという思いは強いです。
川瀬: それからストレス発散も重要です。
健康についてのご相談をいただいたときは食べ物・プラス・ライフスタイルの提案をさせていただくようにはしています。
食事はもちろん大切ですし、アレルギーとも密接に関係していますが、私は健康と最も密接なのは人間も犬もストレスだと思っています。
ストレスをうまく発散できる人は病気になりにくい気がしますし、追い詰められる時間が長いと、癌(がん)などの発症のきっかけになるのかな、とも思います。
ですから犬でも散歩などでストレスを発散させてあげるのは大事ですよね。
それから音や気温、室温、コミュニケーションの方法への心配りも必要だと思います。
犬にも性格がいろいろあって、遊んでほしいワンちゃんとほっといてほしいワンちゃんがいて、ほっといてほしいのに、かまいすぎると、やはりそれはそれでストレスになります。
あまり神経質になるのは逆効果で、のんびりやればいいと思いますが、性格にあったライフスタイルというのは犬、人間を問わず健康維持に大切なんでしょうね。
ドライフードのデメリット
森: 食事に話を戻しますと、健康維持のためにはやはりドライフードだけではダメなんですよね。
商品にも書いてますけど、水を飲んで、必要なものが満たされます。
川瀬: そう、飲むことはすごく大事です。
そこの部分の意識が高い方々は意外にいないというか、まだまだ少ない。
ワンちゃんに結石ができたという経験のある方は別ですが、そうじゃない方は水の大切さをあまり感じておられないように感じます。
生肉と比較したドライフードのデメリットを挙げるとすれば、水分量が少ないということがあるので、主にドライフードを与える場合、常に犬が水を飲める環境を作っておかないといけません。
栄養吸収や結石防止以外にも、体温調節や血液の濃度の調整にも水は必須です。
――最後に森さんから愛犬家へのメッセージをお願いします。
森: 犬の気持ちになって考えると、かわいい服を着るよりも「おいしいものを食べたいんじゃないかな」と感じることがあります。
もちろん、おしゃれが悪いわけじゃありません。
ただ、ものすごくきれいにお洋服を着せてもらって、お散歩してるワンちゃんの飼い主さんに「どんなものを食べさせているんですか?」って聞いたら「そんなものを…」と、がっかりするようなフードをもらっている子がけっこういるんです。
ワンちゃんが本当に嬉しいものは何か、ということを考えていただきたいな、と思っています。
川瀬: きょうはありがとうございました。ハードルが高いとは思わずに、もっと気楽に連絡をくださいね(笑)。
今後ともよろしくお願いします。