人は心理的にも、往往にして丸くて柔らかいものに惹かれやすいといわれます。
確かに四角ばったトゲトゲしたものよりも丸いもの、硬くてゴツゴツとしたものよりも柔らかいものの方を好む傾向があります。
そのせいなのか、どうなのか・・・愛犬、愛猫もプニュプニュと柔らかくて、ポチャッと丸みのある体型を「カワイイ!」と称賛し、「肥満気味」であることに気づいていない飼い主さんが、意外に多いことに驚かされます。
今回は、年々増加する肥満傾向の愛犬・愛猫の食事について考えていきましょう。
目次
犬・猫の肥満体型の特徴
『犬・猫の体型(BCS:ボディ コンディション スコア)』 ― 環境省HPから抜粋 ―
理想体型 | やや肥満 | 肥満 | |
---|---|---|---|
犬 | ●過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。 ●上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。 ●横から見て腹部の吊り上がりが見られる。 |
●脂肪の沈着はやや多いが、肋骨は触れる。 ●上から見て腰のくびれは見られるが、顕著ではない。 ●腹部の吊り上がりはやや見られる。 |
●厚い脂肪におおわれて肋骨が容易に触れない。 ●腰椎や尾根部にも脂肪が沈着。 ●腰のくびれは無いか、ほとんど見られない。 ●腹部の吊り上がりは見らないか、むしろ垂れ下がっている。 |
猫 | ●肋骨は触れるが、見ることはできない。 ●上から見て肋骨の後ろに腰のくびれがわずかに見られる。 ●横から見て腹部の吊り上がり、脇腹にヒダがある。 |
●肋骨の上に脂肪がわずかに沈着するが、肋骨は容易に触れる。 ●横から見て腹部の吊り上がりはやや丸くなり、脇腹はくぼんで見える。 ●脇腹のヒダは適量の脂肪で垂れ下がり、歩くと揺れるのに気づく。 |
●肋骨や背骨は厚い脂肪におおわれて容易に触れない。 ●横から見て腹部の吊り上がりは丸く、上から見て腰のくびれはほとんど見られない。 ●脇腹のヒダが目立ち、歩くと盛んに揺れる。 |
上記の表をまとめると
*肥満気味になると脂肪が付き、全体的に丸みを帯びてくる状態
肥満になると触覚、視覚からもドテっとした重みのあることが伝わってきますね。
さて、あなたの家の愛犬や愛猫は、どうですか?
「うちの子は肥満じゃないし、ダイエットなんて関係ないわっ!」と、言いきれますか。
犬・猫の肥満が招く行動の変化
理想体型の犬や猫から比べると、肥満傾向にある犬や猫は、動作の鈍さや旺盛な食欲というに共通性があるようです。
*動きたがらない ⇒ ほとんど動かず寝ていることが多い。
*散歩を嫌がって歩きたがらない ⇒ 体が重くなっておっくうになる。
*一気に食事をほおばる ⇒ ガツガツと食べる。
*食事量が増えた ⇒ 食べても欲したがる。
*大量の水を飲む ⇒ 頻尿になる。
※猫の場合では、高い場所に登る習性があるにもかかわらず、登りたがらないという行動もひとつの目安です。
このような見た目や行動から、「ひょっとして、うちの子って肥満?」と、気づいてもらえるといいのですが、残念なことに愛犬・愛猫の肥満傾向に気づいていない飼い主さんがまだまだいます。
痩せて見えるよりは丸々としたほうが愛嬌もあり、ちょっとくらい太っているほうが健康的だという誤った認識が「肥満」という概念を打ち消しているのかもしれません。
そうなると、隠れた病気を見過ごしてしまいがちで、気づいたときには、愛犬・愛猫の体調がどうもおかしい・・・という結果を招いているのです。
慌てて動物病院に連れて行くと、「肥満です!」と診断されて、それが原因の病気がみつかったということも実例としてあります。
では、なぜ肥満だとダメなのでしょう。
肥満が招く病気
糖尿病
私たちの生活において、今や隠れ糖尿病人口は増え続けています。
この傾向は、もはやヒトだけではなくて犬や猫にも言えるのですから、現代は、隠れ糖尿病のヒトや犬、猫が世の中にたくさんいるといっても過言ではないのです。
特に近年、猫の糖尿病がとても増えているのは、食べすぎや運動不足などの生活習慣病が招く肥満が原因と言われています。
猫の場合、食事療法で改善されるケースが多く見られますから、食事の見直しを直ちにおすすめします。
免疫力の低下
人も動物も元来、自分で自分の体を守ろうとする自然治癒力が備わっています。
ところが、肥満体質はその自然治癒力を弱めてしまったり、免疫力の低下を招いたりしてウィルスや寄生虫に感染しやすくなったり、他の病気を引き起こす原因を作ったります。
免疫力を高め強い体づくりをするためにも、生活習慣の改善が必要です。
その中でも、とくに食事は毎日の積み重ねが必ずといっていいほど結果として表れてきますので、質の良いものを摂り入れて免疫力のアップを図りたいものですね。
関節炎
体重の増加は、関節部分に負担をかけ、成長期に肥満になると股関節形成不全になる可能性が高くなります。
特に大型犬においては、肥満になると慢性関節炎を引き起こす危険性が付きまといます。
全体重を支えている太腿の付け根、膝などの関節が悲鳴をあげて歩行困難になり、ますます動かなくなり体重の増加が心配されますから、体重コントロールは必然といえるでしょう。
このように肥満傾向は、糖尿病はもちろんのこと感染症や皮膚炎、癌、心臓、肝臓、腎臓などの疾患、そして、歩行障害など体のあらゆるところに影響を及ぼしかねません。
『肥満は百害あって一利なし』・・・さあ、今がチャンスです。
あなたと愛犬・愛猫がいつまでも元気でいっしょに暮らすためにも、日々の生活習慣を見直すよい機会ではないでしょうか。
肥満になりやすい時期
成長期
生後1年前後には、たいていの犬は成長期を迎えます。
この成長期には、食欲と体重の増加が著しい時期ですが、それに伴い、脂肪細胞が増え肥満しやすくなる体質を作ってしまう時期でもあるのです。
一旦太ってしまうとエネルギー消費が減退しますから、標準体重と同じ量や運動量では簡単には痩せません。
高齢期
犬・猫も7、8歳ごろにもなるとシニアと呼ばれる時期に入ります。
その頃になると肥満になる犬は50%以上、9歳を超えるころには、70%になるとまで言われています。
原因は運動不足。
年々運動量が減るのに対して食事量が同じでは、エネルギー消費量は減り肥満になるのは言うまでもありませんね。
では、どのようにすれば肥満傾向の体型を理想体型へと近づけていけるのでしょう。
ダイエット計画
継続しつづける適度な運動
外は暑いから、寒いからとついつい愛犬の散歩の回数が減ってはいませんか?
暑い夏場は朝や夕方以降、寒い冬場は暖かな日差しのある日中にお散歩することをおすすめします。
平坦な散歩コースを選びがちですが、少々アップダウンのあるコースを選ぶと消費カロリーも増えます。
食べる量が同じなのに運動量が少なくて消費カロリーが低いのは、やはり肥満の原因のひとつです。
また、散歩の大きな意味は、外気に触れることで気分転換もできるので、ストレス解消にも効果的なのです。
ただし、運動量の少ない犬や猫は、急に運動しても脂肪を燃焼させることができません。
脂肪を燃焼させるには「体内酵素」が必要です。
運動を習慣づけることで徐々に酵素が増えていき、脂肪がどんどん燃えるようになり、エネルギーの消費も増えるのです。
肥満傾向にあるとどうしてもエネルギーを貯めもうと働きますが、運動をし続けていくと消費しようとする働きに転換されていくのです。
だからと言って、激しい運動をさせ一気に消費させようとする方法は返って体に負担をかけるだけです。
大切なのは
●少しずつ運動量を増やして、それを継続すること!
●散歩は、毎日1時間程度を目安に飼い主さんも愛犬も楽しむこと!
●室内においてはいっしょに遊ぶ時間を作り、体を動かす機会を作ってあげること!
※猫の場合は、散歩することはなくて室内に居ることが多いです。
猫は高いところに登る習性がありますから、それを利用した運動をさせることも一案です。
部屋の中に安定した高低差をつけて、上ったり下がったりすることで運動エネルギーが増やします。
冬場はダイエットに向いている季節
恒温動物であるヒトや犬や猫は、気温が下がると体温の低下を防ぐために体のエネルギーを多く燃やして一定の体温を保とうとします。
ヒトよりも体温が38度前後と高い犬は、気温が下がるとより激しくエネルギーを燃焼する必要があります。
体温維持のためにそれほどエネルギーを燃焼させるのは消費カロリーが多いということですから、冬場はタンパク質や脂肪の量をうまく調整することでダイエットができる可能性がありますね。
食事やおやつの見直し
さあ、運動面での理解はしていただけましたか。
運動するとお腹が空いて食欲が増します。
「運動したのだから、たくさん食べても平気よねえ」・・・と、ばかりに食事の量を増やすのは逆効果。
また、「いっぱい遊んだからごほうびネ!」・・・と、頻繁に与えるおやつもNGです。
運動して体を動かしせっかく消費したエネルギーを、また同じように補うというのは、ダイエットにはなりません。
犬や猫が喜ぶからと必要以上に食事の量やおやつの回数を増やしていませんか。
食事は主食で、おやつはあくまでもしつけやコミュニケーションの手段です。
※猫は昼夜を問わず頻繁に食べる習性をもっています。
そのため、ついつい1回の量が増えてしまいがちです。
体重が増えると動作が鈍くなり、ますます運動をしたがりませんから肥満傾向になるのも当たり前。
飼い主さんが一日の必要カロリーをちゃんと確認し、それを回数できちんと分けて与えましょう。
犬や猫は自分で食事やおやつの量や回数を決めることはできません。
それを正しくコントロールできるのは、飼い主さん、あなたなのです!
特に肥満傾向にある愛犬・愛猫には食事の見直しが求められています。
今までと同じような食事内容では、結局は“元の木阿弥”となって堂々巡りです。
食事の見直しをして、愛犬・愛猫を肥満から救ってあげましょう。
では、どのような食事を与えれば肥満体質から抜け出すことができるのでしょうか。
ダイエット食って本当にいいの?
「ダイエット食品」「低カロリー食」
ダイエットフードの中には、栄養面よりも膨満感を優先するものがあります。
穀物が主原料で繊維質をたっぷり含んでいるので、「これなら少ない量でいけるのね」と思いがちです。
ところが穀物や炭水化物中心の食事は、低カロリーですがエネルギーの変換が悪く、体が欲する栄養が満たされないため満足感を味わえない愛犬や愛猫たちが多くいます。
犬、猫の第一エネルギー源は、脂肪、その次にタンパク質、最後に糖質です。
犬や猫にとって、炭水化物中心の食事はエネルギー源としては質が悪いといえます。
また、うまく利用しきれなかった糖質は脂肪として蓄積されてしまいます。
ダイエット食や低カロリー食を与えているのに、どうも体重は減らないし体型も変わらない・・・と悩んでいませんか。
「ダイエット食」「満足満腹」「減量」「低カロリー」「速攻」などなど・・・・そういう謳い文句についつい惹かれて、食事を選んでしまいがちです。
ダイエットは、短期間勝負ではなく、毎日継続していく地道な努力に伴って結果が見えてくるものです。
飼い主さんと愛犬・愛猫がいっしょになって生活習慣や食生活を見直し、体づくりをしていく取り組みが何よりもの近道といえるでしょう。
さあ、食事の見直しの気持ちがどんどんと高まってきましたか。
では、どのような食べものの力を借りれば、ダイエットに良いのかを考えていきましょう。
h3・タンパク質、脂肪の制限より重要な糖質制限
犬は雑食性ですが元もとは肉食性の生きものであり、猫は肉食性の動物ですから動物性脂肪やタンパクは、犬や猫にとっては必要な栄養源となります。
良質な動物性脂肪を中心とした食事は、エネルギー燃焼が良く脂肪に変換されにくいので肥えにくいのです。
酵素はタンパク質(アミノ酸)で構成されているため、良質のタンパク質をしっかり摂取することはたくさんの種類の酵素を補給することができ、消化を助けてくれます。
脂肪を燃焼させ筋肉を作るためにも、タンパク質や酵素の力は必要なのです。
このような栄養素を摂り入れながら、体重コントロールをしていくことが望ましいといえるでしょう。
先述したように、犬や猫は脂肪をエネルギーとして利用しています。
体に必要な糖質は脂肪とタンパク質を体内で糖に変換して作っています。
実質的に、犬や猫にとっては、糖質は食事から摂取する必要がないわけです。
グレインフリー(穀物不使用)、グルテンフリー(小麦類不使用)フードが注目されていますが、
犬や猫にとって一番理にかなったダイエット食は、デンプンも一切含まない糖質フリー(糖質制限食)であるといえます。
h3・
消化吸収力
食べものに含まれるタンパク質や脂肪、ビタミン、ミネラルなどの栄養分をどれだけ消化吸収できるかも大きく問われるところです。
消化の良い食べものは、免疫力の高い体づくりに役立ちます。
食べたものをエネルギーに換えたり各組織に利用したりするには消化力がないとできないのです。
消化の良い食事には、酵素や乳酸菌や善玉菌などが豊富に含まれているのですが、酵素や乳酸菌などは熱加工されると失われてしまうという弱点があるのです。
さて、そのような弱点を補える熱加工されていない食べものはあるのでしょうか。
良質なタンパク質を摂り、乳酸菌や酵素の力を借りてダイエットに挑む!
≪生肉≫
犬や猫は元もと生肉を消化するための強酸性の胃酸や短い腸など狩猟動物をしての消化機能を持ち合わせています。
ですから生肉中心の「生」の食事が適しているのです。
生肉に含まれる脂肪は、豊富な酵素が含まれていて、消化がよくエネルギー源となります。
これらを食べることによって
*体重コントロール
*イキイキとした元気さ
*艶やかな毛艶
*免疫力の高い強い体づくり
に役立ちます。
生肉の種類は、馬肉・鹿肉・鶏肉・ラム肉・猪肉・牛肉・豚肉などありますが、特に高タンパク、低カロリー、低脂肪と言われているのは、馬肉、鹿肉です。
鶏肉はカロリーが馬肉や鹿肉に比べるとやや高めですが、少量でカロリーを多く摂取ができますので、低コストで経済的です。
【生肉の特徴】
●消化吸収に必要なエネルギーを摂取することができる
●消化時間が穀物などと比べると、4分の1の速さで吸収されるので体への負担が少なくてすむ。
●ビタミン・ミネラル・タンパク質・酵素を豊富に含有
●高タンパク・低カロリー・低脂質のため、体重のコントロールに最適
●本能的に食いつきやすい
しかし、生肉だけで栄養がすべて補えるということではありません。
ドライフードの量を減らし生肉を加えたり、手づくり食などに取り入れたりすることをおすすめします。
そして
「できれば生肉の良さを活かした総合的な栄養を摂れるものはないのかしら?」・・・という、その声に応えた食べものが「生食ローフード」と呼ばれるものです。
いったいそれはどのようなものなのでしょうか。
詳しく見ていくことにしましょう。
h3・
≪生食ローフード≫
●生肉を中心に生贓物、生骨、発酵野菜や果物を原材料とした栄養バランスの整った総合栄養食。
●熱加工されていない生の食材を用いているため栄養が損なわれない。
という大きな特徴をもった食べものです。
良質な動物性脂肪は、犬や猫の食欲を刺激しいちばんのエネルギー源となります。
酵素たっぷりの生肉を使用していますので、消化にすぐれ栄養をしっかりと吸収できます。
上記の≪生肉≫で取り上げた特徴に加えて、発酵野菜や果物が含まれていることや、カルシウムをたっぷり摂る点から考えると、こんなに便利な食べものはありませんね。
肉食動物は、狩りをする際には獲物の肉や骨はもちろんのこと内臓までもしっかりと食べ、食物繊維や炭水化
物をそこから摂取すると言われていますから、生贓物や生骨すべてが含まれた総合栄養食です。
これは画期的な次世代型の新しいフードと言えるでしょう!
「ダイエット食」と言えば、とかく少量で低カロリーのもの・・・と思われがちですが、体重コントロールを考えるうえでは、そこに特化するのではなくて、栄養をいかに消化吸収しエネルギー変換できるかかが大事なのです。
また、この≪生食ローフード≫は、離乳期から老年期に至るあらゆるライフステージの犬や猫にも適しています。
食事は日々のことであり、生きていく限りずっとつきまとうものです。
この見直しこそが肥満を防ぐもっとも画期的な「ダイエット食」と言えるのではないでしょうか。
さあ、理想体型への道は、この先に見えてきましたよ!
帝塚山ハウンドカム 生肉ページへ
帝塚山ハウンドカム おすすめローフードBONE
愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修
代表取締役 川瀬 隆庸
- 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
- 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
- ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
- 小動物栄養管理士認定
- D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
- 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
- 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了
愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。