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世界各国の人気の犬種・猫種 ――― 犬編


さて、犬や猫の種類がどれくらいあるのか考えたことはありますか。
日ごろ戸外やテレビや雑誌などで目にする犬や猫だけでも結構な種類がいますね。
しかし、それが世界中となると・・・いったいどれくらいでしょう。

国内の犬の血統書発行団体にJKC(ジャパン・ケネル・クラブ)というのがあり、2013年時点で343犬種の登録がされています。
さらに、世界の犬種では非公認犬種も入れると、約700~800種類といわれています。

一方、猫は、世界最大の愛猫協会で純血猫種の審査・血統登録書の発行をおこなっているCFAという血統書発行団体で見ると、血統付きは42猫種(2018年現在)です。
猫図鑑などを見ると、非公認猫種も入れると300余りといわれていますから、こちらもいかに種類が多いかわかりますね。

では、日本以外の世界の各地では、どのような犬種、どのような猫種が人気を集めているのでしょう。
今回は、日本との共通点や相違点を踏まえながら、2回に渡って話を進めていくことにします。
ではまずは、犬種から見ていきましょう。

どうやって犬種は増えたの?

犬の祖先はオオカミです。
オオカミから現在の犬へと進化する過程で、人間の手が加わり意図的に種類を増やしていったことは事実です。
野生のオオカミが人間の残飯を目当てに人に近付いたことをきっかけに、人間との関りの中で家畜化していきました。
人間との関りを受け進化した犬は、良きパートナーとして狩猟の手伝いをするようになり、切っても切れない関係をさらに築きあげていきます。
そして、ペットとして可愛がられるようになっていき、やがて、家族として深い絆で結ばれていきます。
人間の生活にとって、時代とともに重要な役割を犬が担ってきた結果といえるでしょう。

近年では、国際畜犬連盟がその生存目的や形態や用途によって下記のように10のグループに犬種を区分しています。

このようなグループ分けからも、犬の役目の大きさが伺えますね。

では、各国ではどのような犬種が好まれて人気となっているのでしょう。

各国の人気の犬種

他にフィリピンではシー・ズー、イスラエルやスェーデンではラブラドールレトリバーなどが人気の犬種です。

上記の【表2】を見ると、日本や中国では小型犬が人気を占めています。
中国は、経済の発展に伴い、ここ最近ペットブームが起こっていて飼育頭数が急上昇中。
昔は、チベタン・マスティフという犬が富裕層の間でステイタスとして人気があったそうですが、その値は実に1億円もしたというのですから驚きです。

犬の種類分けから民族的な違いは否めない事実があります。
狩猟民族の欧米と農耕民族の日本を含むアジアでは、犬の必要性に差があります。
そして、さらに住宅事情の差。
海外、特に欧米では住宅事情は日本とは違いますから、大型犬を飼育できるだけの広々とした住環境が整っていますし、日本と違って家の中では靴のままの生活ですから、犬を家の中で飼育することはふつうの感覚のようです。
日本でも最近、「小型犬を含む小動物の入居可」という広告を目にします。
ペットと住めるマンションなども増えたことの顕れです。
しかし、靴を脱ぐ生活ですから犬の散歩から帰って室内へ入るときは、まずは足を洗ったり拭いたりします。
これが大型犬ともなると、大変な作業です。

確かに大型犬を飼育しているご家庭も日本でも多くありますが、しかし、人気犬種は小型犬に集中しています。
住宅事情に加えて影響力のひとつに、ドラマ、映画、CMに登場する小型犬の愛らしさや健気さが日本人の心を動かし、飼育願望を駆り立てているのかもしれませんね。

欧米諸国やオーストラリアでは日本のように流行り廃れの傾向はほとんど無いように思いますが、ところが、アメリカでもテレビやゲームなどに登場する犬の影響が人気を左右するそうです。
またロシアでは、プーチン大統領や女子フィギアスケーターのギザトワ選手が飼育する秋田犬の人気は、じわじわと上がってきているようです。

どの国でもそうでしょうが、愛犬を家族としてまたペットとして迎え入れた場合、食事を与え、病気になれば獣医さんに診てもらいます。
特に大型犬ともなると、食事の量も違いますから経済的な負担も大きいはずです。
病気が重ければ重いほど医療費もそれなりに必要になってきます。

こうして人気の犬種の傾向をみると環境、家族構成、経済状況はもちろんですが、風習なども関係していて
各国での事情も千差万別です。

ペットの入手方法

【表3】を見てもわかるように、犬の入手方法として、日本はやはり生体販売がメインとなっています。
ペット先進国といわれる欧米諸国やオーストラリアなどは、動物保護施設(団体)での面接などを重ねて引き取るということが主な入手方法のようです。
中国、ロシア、ブラジルの入手方法を調べると、朝市などで生鮮食料品と同じように動物も売られています。
また、流通に関しては日本のペットショップの子犬たちはブリーダーからペットショップというのが主です。
欧米諸国にもブリーダーはもちろんいますが、法律に則って繁殖させたり販売したりしていて、不要に頭数を増やさないということも厳しく決められています。
違反するとブリーダーとしての仕事を剥奪されることもあるそうです。

中国をはじめ市場などで売られているのは、ブリーダーもしくは一般の飼い主が繁殖させた犬や保護されたものももちろんですが、野犬や野良犬が平気で売られているところもあるそうです。

犬を入手する方法は各国において様々ですが、動物を売買したり譲渡したりする際に、法律、条令、規則など有るか否かで犬に対する国の特長が見えてきます。

発症しやすい犬の病気

犬の病気というと、狂犬病を思い浮かべますが、平成18年の厚生労働省の発表では
●狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国々を除いて、全世界に分布します。
つまり、海外ではほとんどの国で感染する可能性のある病気です。
●世界保健機構(WHO)の推計によると、世界では年間におおよそ5万5千人の人が亡くなっています。
また、このうち3万人以上はアジア地域での死亡者と言われています。
と、HP上で渡航する人に向けて呼び掛けています。
アジアでは犬や猫からの感染がとても多いのですが、狂犬病のワクチン接種を義務付けていない国があるという
ことも狂犬病を発症させている大きな原因です。

人に及ぼす病気とは別に、やはり個体そのものの体質の弱点というのがあります。
ここでは、【表2】各国別の人気犬種で取り上げた犬たちが、どのような病気にかかりやすいのかについ
て、以下の表で確認していきましょう。

【表4】を見ると、関節、目、歯、内臓などのさまざまな症状が挙げられています。
進化の過程で繰り返し行われる人工的な交配によって、弱い因子を生み出してきてしまったのかもしれません。

飼育頭数の全体的なことからいえば、日本で飼育されている犬の病気で多いものは、癌・心臓病・腎臓病、またアメリカでは癌・皮膚疾患・歯周病です。

そして、新たな病気を引き起こしている原因が中国にあります。
中国では経済の発展に伴い、近年ではペットブームが起きています。
それに拍車がかかりすぎたのか、犬の毛にペインティングや染毛を施している一部の人たちがいるそうです。
そのため犬の皮膚疾患が増えているというニュースも目にします。

遺伝的なもの、後天的なもの、そして意図的なものなどをとおして犬の病気は発症します。
愛犬が毎日元気に暮らしていけるような、そんな国や地域が増えていくといいですね。

では、元気の源のひとつ、食事事情についてみていきましょう。

世界の犬の食事事情

日本を例にとっていえば、どれにすればよいのか迷ってしまうほどのドッグフードの種類。
ドライタイプのドッグフード、ソフトドライやセミモイストタイプの半生フード・ジャーキー・ささみ、
ウェットタイプの缶詰・レトルトパウチ、そして生肉・生食ローフード・手作り食というふうに多数です。

また、ヨーロッパのペットショップやスーパーの店頭で売られているのは、種類の豊富なドライタイプのドッグ
フードが主流です。
アメリカもオーストラリアも主流はやはりドライタイプのドッグフードです。
購入の理由は、やはり簡単で便利な食事ということでしょう。

ドッグフードが市場に出回るまでは、人が食べたあとの残飯や、スープを取ったあとの骨などがエサとして与
えられていましたが、アメリカでのペットフード産業の発展によって、ミルクボーンビスケット、缶詰ドッグフ
ード、ドライフードなどが次々に誕生し、日本にも1960年にアメリカから初めてドッグフード伝わり、「餌」か
ら「食事」へとかわっていく足掛かりを作っていきました。
今では、人間が食べる安心安全な食材として「ヒューマングレード」という原材料に拘ったドライフードも多く
出回っています。

また、さらにインターネットで犬の食事のサイトをいろいろと見ていると、最近では生食(生肉・生骨・生野菜・生果物)を与えている飼い主さんが、それぞれの国でも多くなってきたという記事が目につきます。
その大きな理由に、犬は雑食系ですがもともとはオオカミがルーツ。
オオカミはシカを追いかけ狩りをした肉食系。
犬が幾度となく交配を繰り返し進化してきたと言っても、肉を食するのは犬にとって、実は自然なこととして捉
えられてきている兆しのよう思います。

とはいうものの、世界は広い。
人が食べるものも貧しい国があり、そこで健気に生きている犬たちもたくさんいます。
そのギャップから目をそらすことなく、現実を受け止めることも大切です。
人も動物も貧困に喘いでいる国があるということを踏まえながら、今、私たちの目の前にいる犬たちに対して責
任をもってしっかりと守り育てていくことの意識を高めていきたいものです。

さて、次回は世界の猫についてお伝えしていきます。
日本でも飼育頭数が犬を抜いたといわれている猫。

国によって猫の食事って違うの?
海外で人気の高い猫って何?
猫がかかりやすい病気って?
猫っていったいどういう生きもの?

そんな疑問を紐解きながら、次回は日本と世界に目を向けながら犬猫事情をみていくことにしましょう。
お楽しみに!

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愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

株式会社帝塚山ハウンドカム
代表取締役 川瀬 隆庸

  • 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
  • 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
  • ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
  • 小動物栄養管理士認定
  • D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
  • 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
  • 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了

愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。

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