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犬の外飼い、室内飼い、あなたはどっち?

「猛犬に注意」と門柱にシール。
用事があって訪ねた家にそのようなプレートが貼ってあると、なんだか気後れしてしまいますね。
すると次の瞬間、けたたましい犬の鳴き声に驚いて後ずさりしたということはありませんか。

昭和の時代までは庭で犬を飼っている家も多く、犬はたいてい番犬としての役割を果たしていたものです。
ところが、平成も終わろうかという近年、戸建ての家の前を通っても玄関先に犬保有のシールは貼ってあるもののその姿をみることはなく、家の中から小型犬らしいキャンキャンという鳴き声が聞こえてくるだけ。
庭のある戸建ての家でも、外飼いの犬というのは随分と減ったように思います。

ということで、今回は愛犬の外飼いと室内飼いのケースをさまざまな角度から捉え、そのメリット・デメリットについていっしょに考えていきましょう。

外飼いの犬が減ったのはどうして?

住宅事情の変化が犬の飼い方を変えた

昭和40年代、日本の高度成長期に合わせるように「団地」という集合住宅が勢いを増して、日本のあちらこちらで建てられるようになりました。
それまでの住環境は戸建てが主流で、2世帯3世帯が同居しているという家族構成がふつうでした。
やがて集合住宅の増加、核家族化などから日本の生活環境は急激に変化していったといえるでしょう。

都市部では区画整備されたニュータウンと呼ばれる町づくりが誕生。
そして、その時期と並行して小型の洋犬の種類が増え、犬は番犬からペットという位置づけに変わっていきました。
小さくて愛くるしいペットは、家族の人気者となり子どもの情操教育にもひと役買うようにもなりました。
また、昭和も終わりに差し掛かる頃、テレビCMなどの影響から小さくて可愛い犬が、家族の一員として暮らす設定が定着し広がりを見せはじめると、犬は室内飼いというイメージを大きくしました。

それに追従するように、小型犬種が増えたり室内飼育がごくふつうになったりしてくると、今度は戸建てだけでは無く、「ペットと一緒に暮らせるマンション」などと謳い販売する集合住宅もその数を増やしていきました。
このように住宅環境の変化に伴い、ペットの飼育環境も外飼いから室内飼いへと移行したといえるでしょう。

家を守るのは、もはや番犬ではない?

犬を外飼いしていた理由のひとつに、犬が番犬としての役割を果たしたと述べましたが、今や家の安全を守るのは番犬よりもホームセキュリティーや防犯カメラが担い、防犯カメラに映し出された映像から犯人や犯行の手口が解明されることも多くなりました。
不審者の侵入を吠えて知らせていた番犬も、これからはさらにITにその座を奪われていくのかもしれませんね。

犬の飼育先進国に見る環境事情

さて、日本の飼育環境に変化がみられるものの、欧米諸国ではどうでしょう。
外飼いの犬は多いのでしょうか? それとも室内飼い?

しつけと訓練の重要性

欧米諸国と日本との生活習慣の大きな違いの中に、家に入るときに「靴を脱ぐ、脱がない」というのがあります。
欧米では玄関を開けて部屋に入るのも靴のままですから、靴の底に着いた泥も砂も埃もそのまま室内に運ばれます。
しかし、玄関で靴を脱ぐ習慣の日本では、室内飼いの場合は散歩から帰った犬はまず、足を洗ったり拭いたりして家の中に入れます。

まず、欧米諸国と日本との犬の飼い方には、「靴を履いたまま家の中に入る」というこの習慣の違いが大きく関わっていることから、欧米諸国などでは室内飼いがごくごくふつうに生活に取り入れられたといえるでしょう。

また、家の中での生活風景にも違いがあります。
欧米では犬を閉じ込めるという習慣が無く、家の中では自由です。
かといって、好き勝手にウロウロと家の中を歩いたり、ドタドタと走り回ったりするようなことはしません。
いつも静かに家の中で過ごしています。
室内飼いをする場合は、近隣の住人に迷惑にならないように無駄吠えのしつけもしっかりとされています。
あまりしつこく鳴いていると、飼い主から虐待を受けていると疑われて通報されることもあるそうです。

しかし日本の場合、しつけが行き届いていない犬は、家の中を縦横無尽に走り回りチャイムの音が鳴るとけたたましく吠えます。
日本はまだまだ欧米諸国と比べるとしつけや訓練が行き届いていないのです。

そして犬のトイレにおいては、欧米では街に犬の糞を捨てる袋や専用のごみ箱が設置されていることが多く、国によっては犬の糞を放置すると罰金を課せるところもあります。
犬の飼い主さんは犬のしつけをとおして自身のモラルを問われるため、しっかりと犬の訓練やしつけをします。
このように欧米では、犬の家での行動、公共の場での行動という社会性をとても重要視しています。
ですから、生活環境、生活習慣に沿ってしっかりと訓練されているために、室内で犬を飼うのは昔から当然なの
です。

外飼い事情、室内事情

外飼いする理由

・犬は外で飼うのが自然
 昔から犬は外で飼っているので外飼いは当然

・番犬として役にたつ
 不審者が侵入しても吠えて威嚇する
  
・庭が広いので外で自由に遊ばせてあげられる
 家の中に閉じ込めておくのはかわいそう

・世話がしやすい
 糞尿の始末が簡単
 臭いが部屋にこもらない
 抜け毛の掃除が楽

室内飼いする理由

・家族の一員なのだから家の中で一緒にいるのは当然
 愛犬といつもそばにいたい

・犬は室内飼いと決めているから
 外の環境にさらすなんてことは無理だし過酷

・体調不良に気づくことができる
 いつもいっしょにいるので愛犬の様子の変化などにいち早く気づける

などと外飼い、室内飼いをしている飼い主さんの主な理由をピックアップしてみました。
それぞれの家の事情や考え方がありますから、どちらを選択するのも自由ですが、いずれによせ犬を飼育する場合は、しっかりと飼育計画を立て、問題点や対処法などを把握したうえで飼いましょう。

外飼い、室内飼いが抱えるご近所さんとのトラブル

鳴き声

知り合いの柴のミックス犬は、広い庭で放し飼いにしています。
外出先から帰り家から数メートル離れたガレージに車を入れていると、愛犬が飼い主さんの帰宅を喜んで吠えているそうです。
ところが、いつも来る郵便配達の人にも、宅配業者の人にもお孫さんにも激しく吠えるそうですが、その飼い主さんいわく、「ところがね、吠え方が違うのよ。まったく知らない人と顔見知りとか私たちとか、吠え方にいろいろ違いがあるから、犬は人によって吠え方を変えているように思うの」とのこと。
なるほど、どんな人が来たのかを鳴き声で区別して知らせているのでしょうか。
番犬としての役割をしっかり果たしている利口な犬のようです。

ところが、この飼い主さんにとっては賢い犬の存在であっても、他の人にすればどうでしょう。
犬の鳴き声にうんざりするご近所さんもおられるかもしれません。
四六時中、誰かが通るたびにワンワン・キャンキャンと鳴かれては、たまったものではありません。
特に深夜や早朝となれば睡眠妨害になりかねません。
外飼いでの鳴き声はシーンと静まり返った住宅街に響き渡ります。

また、室内飼いであってもよく鳴く犬はいますし、チャイムが鳴るとずっと吠え続ける犬もいます。
戸建てや集合住宅であっても鳴き声のトラブルは多いです。
また多頭飼いとなるとその犬の数だけ鳴き声も増すということですから、鳴き声のトラブルを回避するのはなかなかむずかしいようです。

ご近所さんとのトラブル・・・・・・他にも下記のような事例があります。

糞尿の臭い

外飼いの飼い主さんにとっては、庭で済ませてくれるのは楽です。
いちいちペットシートを敷いたり始末したりしなくて済みます。
ところが、やはり糞尿の臭いはするものですから、それを放置しておくと臭いは風に乗って隣近所へと届きます。
せっかく窓を開けて空気の入れ替えをしているのに、どこからともなく糞尿の臭いが漂ってくるとなるといい気分ではありませんね。

また、室内飼いにおいては、部屋に臭いがこもりがちです。
犬を飼っていない人からすれば、そのこもった臭いは案外不快に感じる臭いになりかねません。
集合住宅など隣近所が密集している場合は特に臭い対策は必要です。

抜け毛

抜け毛の多い時期になると抜ける毛の量の多さや始末が大変です。
外飼いでは、風にゆらゆらと運ばれて隣近所へ抜け毛が飛んでいくということが起こります。
そうなると、せっかく干したお洗濯物やお布団に毛が付いたり、隣のお庭に舞い降りたりということも考えられます。

そもそも、外飼いにするとブラッシングの回数が室内飼いよりも少ないということも言われています。
そのため、抜けた毛が犬小屋に溜まっていたり、敷物に絡みついていたりというふうに不衛生な環境を生んでしまいます。

また、室内飼いでも抜け毛は避けては通れない犬の生理的現象です。
室内飼いの家ではお掃除に大わらわ。
マメにお部屋のお掃除をするのはいいのですが、やはり窓を開けて掃除をするとなると抜けた毛が風に舞い飛んでいくことが考えられます。
粘着テープなどで毛を取ったり、掃除機で吸い取ったりして抜け毛が飛んでいかない工夫も必要ですね。

こうしてみると、外飼いも室内飼いも犬の苦情というのは、「鳴き声」「臭い」「抜け毛」などが大きな問題となっているようです。
また、近隣のみなさんが犬好きだとはかぎりません。
犬の苦手な人もいますし、アレルギーのある人もいます。
犬を飼う際は、やはり、その点に注意をして犬のしつけと飼い主さんのマナーの向上に努めましょう。

外飼い、室内飼いの問題点と対策

外飼いで注意すべき点

・通行人との距離を置ける場所に犬を置く
 ●「かわいい」と子どもなどが手を出し近づくと、飛びかかったり噛みついたりすることもある
 ●他者から餌を与えられてしまうことがある(特に中毒性のある食べものを食する危険性がある)

・暑さ寒さ対策
 ●猛暑日、大寒の日など日本の気候の変動は年々厳しさをましている
  異常気象に伴い暑さ寒さの厳しい時期は、室内(玄関内)などに入れる
 ●夏の暑さ対策としてコンクリートの上ではなく、なるべく土の上(軒下、縁の下)で過ごせるようにする
 ●陽の当たる場所を求めて移動する冬、日蔭を求めて移動する夏は、犬小屋やサークルの位置を変えてやる

・中毒性のある植物の傍に置かない
 ●球根などの花は毒性があるので、誤飲の可能性のある花壇の傍に犬小屋やサークルを設置しない

・排水溝、池、水たまりを避ける
 ●水たまりにはボーフラがわきやすく蚊の発生を促しフィラリアの危険性を高める

・柵やフェンスを高くする
 ●落雷、花火、クラクションなどの音は、犬の場合人の4倍の音で聞こえるため、パニック状態になりやすく、そのため低い柵や垣根などを飛び越えて道路に出て事故に遭遇する危険がある
  

室内飼いの注意すべき点

家の中にはさまざまな危険が潜んでいます。
誤飲による中毒症状、フローリングによる足腰の負担、落下、火傷、溺死などなど。
人間目線の生活では気づかないことも、犬目線で見渡してみると、想像以上に危険なことが家の中にはあります。

詳しくは下記の記事を参考にしてください。


家の中に潜む危険から愛犬を守る方法

外飼いに向いている犬、向いていない犬

上記の注意点を参考にしてみると、外飼いも室内飼いも注意すべき点をクリアして安心できる飼育環境を作ってあげることが必要ですね。
この項では、それぞれの注意点を踏まえた上で、どのような犬種が外飼い、室内飼いに向いているのかを見てみましょう。

外飼いに向いている犬種

◇日本犬
すべての犬種がどんな環境にも適応するわけではありませんが、やはり日本には日本の風土にあった犬種がいて、北海道犬、秋田犬、柴犬、甲斐犬、紀州犬、四国犬などです。
日本の四季に準じた適応性や耐久性がある犬が外飼いには適しています。
これらの犬は、飼い主に対する忠誠心が強い反面、見知らぬ人に対する警戒心が強いことから、番犬として適しています。

◇ダブルコートで長毛種の犬種
・ゴールデンレトリーバー・シェトランドシープドッグ・スピッツ・ポメラニアン・チワワ(ロングコート)
・ダックスフント・キャバリア・ボーダーコリーなど

◇ダブルコートで短毛種の犬種
・柴犬・秋田犬・ウェルシュコーギー・シベリアンハスキー・ラブラドールレトリーバー
・フレンチブルドッグ・ジャーマンシェパード・ジャックラッセルテリアなど

ただし、ダブルコートならすべて外飼いに向いているのかと言えば、そうとは言いきれません。
なぜなら、ゴールデンレトリバーなど、いつも人に寄り添いたい気持ちの強い犬種は、外で一人にされることを好みませんし、シベリアンハスキー犬などは、寒さには非常に強いですが、夏の暑さには弱いといわれています。

毛並みの美しいスピッツなども外飼いをしていると、すぐに汚れてしまいますし、人懐っこい犬は人が近寄っても吠えることをしないため、盗難などの被害にあうこともあります。

外飼いに向かない犬種

◇シングルコートの犬
トイプードル・ミニチュアシュナウザー・シーズー・ヨークシャテリア・ミニチュアピンシャ―・パピヨンなど。

個体そのものの体質や性質にもよりますし、飼い主さんの考え方によっても外飼い、室内飼いの判断基準は違います。

外飼い室内飼いでの共通飼育

散歩

外飼いでも室内飼いでも、その空間にじっとしている、ずっと居るというのはストレスの原因にもなります。
犬にとって必要なのは、適度な運動を兼ねた散歩です。
私たちも毎日毎日朝から晩まで四六時中、同じ環境の中にいたら退屈しませんか。
愛犬たちも同じです。
特に犬は嗅覚や聴覚、視覚を使って情報をキャッチする生きもので、飼い主さんと散歩中の発見にワクワクしています。
「うちの子は、チョロチョロとマメに動いているから結構運動しているのよ」と言われるかもしれませんが、時に公園の土の上を歩いたり、土を掘り返したり、草の上で転んだり、他の犬の臭いを嗅ぎ分けたりすることが犬本来の習性です。
散歩は愛犬にとって、リフレッシュできる時間です。

食事

気温の下がる冬の季節は、体温の低下を防ぐために体のエネルギーを多く燃やして一定の体温を保とうとするのが、私たち人も犬も同じで恒温動物の習性です。
人よりも体温が38度前後と高い犬は、気温が下がると激しくエネルギーを燃焼する必要があります。
体温維持のためにそれほどエネルギーを燃焼させるのは消費カロリーが多いということですから、冬場は食事の量をいつもよりも増やしてあげても大丈夫です。
特に、室内飼いよりも外飼いの犬は、外気にさらされていて体温維持を余儀なくされています。
質の良いタンパク質を含む食事を与えてあげるといいですね。
タンパク質はアミノ酸で構成されているため、たくさんの酵素を補給することができます。
良質のタンパク質を多く含む食事としては、馬肉や鹿肉などの生肉などが適しています。

コミュニケーション

外飼いであっても家飼いであっても、やはり愛犬とのふれあいは大事です。
犬はもともと群れをなして生活していた動物ですから、絆を大切にします。
ですから、飼い主さんとのコミュニケーションは犬たちにとってはとても必要なこと。

環境の整った室内…一年中、エアコンで調整された室温に立派なサークル。
食事も与えているし、水も換えているし、フカフカのベッドにも寝ているし……。
でも、飼い主さんとのふれあいが少ないと、どうでしょう。
クォーン、クォーンと寂しそうな鳴き声を出して、「ねえ、いっしょに遊んでぇ~」と訴えていませんか。

外飼いの犬ではどうでしょう。
外にいる分、体調の変化を見逃しがちになってはいませんか。
室内飼いの犬と外飼いの犬との大きな違いは、飼い主さんとのふれあいの時間が少ないことや、犬の体調の変化に気づくのが遅いということが言われます。
食事が終わったあとも食器がそのままになっていたり、水の補給を忘れられていたりというケースもあるようです。

いずれによせ、外飼いも室内飼いも飼い主さんをはじめ家族とのコミュニケーションが大切です。
それはむずかしいことではなくて、声を掛ける、いっしょに遊ぶ、散歩をする、体を撫でる、ほめるなどの「いっしょに」というのがキーワードです。

さて、今回の外飼い、室内飼いのそれぞれの飼育事情をわかっていただけたでしょうか。
一概にどちらが良いとか悪いとかは個々の生活仕様での判断です。
しかし、いずれにせよ、外飼いでも室内飼いでも犬を飼うという点でのしつけやマナー、そして愛犬とのコミュニケーションの必要性を強く感じました。

愛犬それぞれに合った育て方や暮らし方が何よりですね!

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愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修

株式会社帝塚山ハウンドカム
代表取締役 川瀬 隆庸

  • 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
  • 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
  • ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
  • 小動物栄養管理士認定
  • D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
  • 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
  • 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了

愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。

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