帝塚山ハウンドカムです。
腎不全と診断されると食事制限が必要になってきます。
今食べているフード・おやつを見直し、腎臓になるべく負担のかからないものに変えていきます。
腎臓ケア用のフードはいつくもありますが、おやつとなると種類も減ってしまいます。
制限が必要なものが何であるかを知ることで、腎臓に配慮してあげることができます。
目次
腎臓病でもおやつはあげていい?
○大丈夫ですが、素材を選びましょう
腎臓病では食事制限が必要になります。
腎機能の低下により、気を付けないといけないのが主に「リン」「カリウム」「タンパク質」「ナトリウム」となります。
この中で一番気を付けないといけないのが「リン」になります。
リンはなくてはならないものですが、腎不全になると血液中の余分なリンを捨てられなくなり余ったリンが腎臓・その他内蔵にもダメージを与えてしまいます。
そのため、リンが多く含まれているおやつも避ける必要があります。
リンは肉に多く含まれています。
では肉のおやつはもう与えてはいけないのでしょうか?
お肉は腎臓ケア療法食にも使用されており、お肉自体がNGというわけではありません。
お肉をあげたい場合
干し肉はリンが高い
お肉にはリンが含まれておりますが、特に干し肉(小魚・魚の干物含む)などのジャーキー類が特にリンが高くなる傾向があります。
ジャーキー類は無添加であってもリンが高い可能性が高く、また消化に悪いタンパク質ですので、腎臓病と言われたらあげるのはやめた方が良いおやつです。
しかしお肉が大好きでほかのおやつは喜ばないという愛犬はどうしたら良いのでしょうか。
リンの低い肉のおやつ
肉のおやつは干し肉(ジャーキー)以外にもあり、ちょっとした工夫でリンの控えめなお肉のおやつを手作りすることも可能です。
動物や部位によってリンの値は変わってきますので具体的なお肉を例にさせていただきます。(豚バラなどの脂身が多い部位は低リンになります)
愛犬のおやつとして代表的なものである「ささみ」ですが、
「ささみジャーキー」のリンが高くても、例えば生の状態のささみですとリンは100g中200~240mg程度となります。
※乾燥させることでお肉は縮み、リンの含有率が高くなります。
200mg~240mgがどのくらいの数値かというと、療法食のウェットフード(130mg~200mg程度)と同じくらいか、やや高い程度となります。
茹でることでリンをこの数値からある程度除去し、低くすることも出来ますので、どうしてもあげたい場合は茹でるなどして除去しましょう。
〇ご注意
おやつをあげたら主食はその分減らす必要があります。
リンを抑えたからと言ってどんどん追加して食べてしまうとリンの合計摂取量は上がっていくだけですし、カロリーも増え、主食を食べる量も減り、タンパク質を含めその他の栄養バランスも崩れてしまいます。
おやつはほどほどに、栄養バランスが崩れすぎないよう抑えましょう。
それではあげたいお肉のリンを減らす方法を紹介させていただきます。
お肉のリンの減らし方
除去する一例として
20~100倍加水、肉を薄切りにし、分割してゆで煮汁は捨てます。
これで牛肉、豚肉、鶏肉に含まれる約4割程度のリンを除去できます。
除去率は色々となりますが、野菜や果物も水らさしを行ったり茹でることである程度除去が可能です。
先ほどのささみの例ですと元が200mgであれば120mg程度になります。
さらにお湯を変えてゆでると更に除去可能です。(ゆでこぼしと呼ばれ、リンやカリウムの除去に役立ちます)
○肉をあげたい場合はリンをなるべく除去してあげましょう
部位によってリンの量は異なるため、リンがもともと少ない部位を選ぶのも一つです。
低脂肪も兼ねたい場合などはささみがおすすめになりますし、目的に合わせて部位を選びましょう。
下の表ではナトリウムも記載しておりますので目安にしてください。
100g中のリン/ナトリウム(目安) | |
ささみ | 200~220mg/14mg |
胸肉(皮無し) | 200mg/42mg |
鶏皮 | 64mg/24mg |
もも肉(皮無し) | 190mg/69mg |
鶏手羽肉 | 100mg/76mg |
鶏ひき肉 | 90mg/60mg |
鶏軟骨 | 78mg/390mg |
※鶏軟骨はリンは低いのですがナトリウムは少々高めです。
※ゆでこぼしなどをする前の数値です。
タンパク質と脂肪について
タンパク質は愛犬にとって丈夫な体を作る大切な栄養素です。しかし過剰なタンパク質は糖質に変換されエネルギーとして利用されたり、蓄えられたりします。
タンパク質は処理の過程で「毒素」が作られてしまいます。対して脂肪はその毒素がなく、クリーンなエネルギー源となるため、腎臓病の愛犬のエネルギー源として向いています。
つまりバランスよくちょうどよくタンパク質を必要量摂りながら、エネルギー源としては脂肪や炭水化物などその他から摂る事が腎臓にも優しいと言えます。
腎臓病におけるタンパク質をどれくらいとってもいいのか?は諸説あり、はっきりとはしていないようです。
なるべく消化に良い良質なタンパク質を適度に摂りましょう。つまりおやつで「過剰になりすぎないように」控えめにしつつ、愛犬の喜びや、食の楽しみを確保してあげましょう。
もっとも制限すべきはリンとなります。
↓↓こちらの記事でタンパク質vsP(リン)という項目があります。
【獣医師が解説】ペットの栄養編: テーマ「腎臓ケアとリンのコントロール」
おやつはあげすぎないように
〇〇を低く抑えているから、これは〇〇が低いからたくさんあげても大丈夫、というわけではありません。
あくまでおやつの範囲を出ない程度に与えましょう。
おやつ以外でも、例えば大好きな飼い主としっかりとコミュニケーションをとるなどでも幸せは感じられます。
ガムのおやつ
デンタル用品としては便利な愛犬用ガム
ですが、固さに比例して消化は悪い物となっています。
ですから腎臓の数値が高い愛犬はできるだけ避けることをお勧めします。
消化の悪さは愛犬の体力を奪い、栄養の吸収率も下がります。
腎臓だけでなく肝臓や膵臓や腸にまで影響が出てきます。
歯磨きやおもちゃで代用するのが一番ですがどちらも無理な場合は
生骨をお勧めします。
小型犬ならネックや手羽先、中型犬なら牛骨や鹿骨など販売されています。
食いつきも良く消化もガムよりは断然マシな物になります。
ただし、食べすぎにはご注意下さい。
野菜・果物・穀類のおやつ
果物・野菜のおやつ
干し芋ややリンゴはリンが低く、愛犬も好むおやつです。ですが
カリウムは高めなので、カリウム制限が必要な場合は別のおやつの方がおすすめとなります。
薄切りや角切りにして流水による水さらしを行うことでカリウムをある程度除去可能です。
お芋が好きな愛犬は多いのではないかと思います。そのままで沢山あげる事はお勧めは出来ませんが、下処理などして工夫してあげる事は出来ます。カリウムは
ゆでこぼしや水にさらすことでリンより効率的に減らすことができます。(1/3~2/3になります。)
カリウムの低いおいものおやつ ぽてキューブ
穀類のおやつ
お米や小麦粉はリン・カリウムが低く、これらを制限したい愛犬に向いているのでお勧めです。
恐縮ですが具体例があった方が良いかと思いますので、当店で販売中のおやつの例ですとこちらがおすすめです。
クッキー 腎ケアプラスクッキー
やわらかめビスケ 小豆カボチャの腎ケアビスケ
クッキー おからの腎ケアサクサクキューブ
小麦粉不使用の低リンボーロ すっきりボーロ
その他一般的な食材のリン・カリウムの数値
参考【リン/カリウム】
ヨーグルト(全脂/無糖) 100mg/170mg
カッテージチーズ 130mg/50mg
さつまいも 55mg/540mg
ごはん(精白米) 34mg/29mg
うどん(ゆで) 18mg/9mg
小麦粉 70~75mg/90~120mg
チーズは種類がさまざまで栄養素もかなり変わってきます。
チーズを与えたい場合は塩分の少ないカッテージチーズがおすすめとなります。
おやつではありませんが、愛犬用低リン手作り食をハウンドカムでは販売もしています。
これらはゆでこぼし調理を行い、日本食品分析センターでも検査をし低リンになっていることを証明されています。
腎臓に優しい低リン7食Aセット
腎臓に優しいおやつまとめ
腎臓病の愛犬は食欲がなくなってくる事が多く、多くは療法食のドライを食べなくなりウエットフードに移行します。
それも食べなくなると手作り食や生肉などに移行します。
それも食べなくなると大好きなおやつしか食べないという愛犬もいます。
ですから、おやつを選ぶ基準としては
○消化の良いもの
○低リン、
〇低ナトリウム
○摂取制限がある時は低カリウム
○食べすぎない
愛犬の腎臓病と時の栄養の摂り方は高品質のたんぱく質を最低限にし良質の脂肪(オメガ3など)と消化の良い炭水化物などで体重を維持する事が大切です。
おすすめアイテム
オリジナルクッキー 腎ケアプラス
低リン(0.18%)で腎臓に優しい手作りクッキー
小豆かぼちゃの腎ケアビスケ
ホクホクおいしい「小豆かぼちゃ」を美味しい愛犬用おやつにしました。
低リン(0.13%)で腎臓に優しい自然素材の軟らかめおやつ。
とっておきのひとくちテリーヌ サーモン 100g
ジャーキーを食べられない愛犬にジャーキーより美味しいおやつ!
低リン(0.22%)で腎臓に優しい食いつき抜群のおやつ。
腎ケアプラスネック骨ごとミンチ
良質なタンパク質、低リン(0.1%)、なにより大変食いつきが良いので、食べて欲しい食事に少しトッピングしてあげたり、手作り食として人気です。
※タンパク質もカロリーあたりの数値は療法食と比較して高くありません。(当店の腎臓ケア療法食ウェットフード 82~84kcalあたり6~8%に対しこちらのお肉は82kcalあたり6.8%となります)
(以上)
あわせて読みたい腎臓ケアに関する情報
愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修
代表取締役 川瀬 隆庸
- 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
- 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
- ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
- 小動物栄養管理士認定
- D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
- 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
- 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了
愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。