「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。
サプリメントとして、コラーゲンペプチドはジワジワと身近なものになってきました。今回はこのコラーゲンをたっぷり含んでいる食材を紹介します。
目次
世界のゼラチン原料
コラーゲンペプチドの「親」にあたるゼラチンは、日本はもちろん世界中で生産されています。まずは、世界の工業生産レベルでのゼラチン原料を見てみましょう。
ゼラチン原料トップ3
欧州ゼラチン工業組合の発表による、世界のゼラチン原料トップ3は次のようになっています(2003年)。
・第1位 豚皮(42%)
・第2位 牛皮(29%)
・第3位 骨(28%)
ゼラチンの原料であるコラーゲンは、からだの中では皮膚や骨・腱に多く含まれています。肉を主食とする欧米では牛肉や豚肉を加工する時、同時に大量の皮や骨が排出されます。
ゼラチンはこれら直接食することができない皮や骨といった廃棄物から作られています。とても合理的なことです。
フィッシュコラーゲン
ここで示したデータは15年ほど前のものですが、BSE(牛海綿状脳症)の発生以降、世界的に牛の肉骨粉に対する警戒心が叫ばれるようになりました。これより、家畜以外の動物原料からゼラチンを生産する動きが見られています。
その代表が魚やサメなどの水産動物の皮・軟骨を原料とする「フィッシュコラーゲン」です。フィッシュコラーゲンについては後ほど詳しく説明しましょう。
コラーゲンの多い食材
ゼラチンやコラーゲンペプチドは動物のコラーゲンを原料として製造されています。手作りフード派のオーナーのみなさんは、愛犬には食材からコラーゲンを与えたいと考えておられることでしょう。
ここでは金城学院大学の野口知里ら報告をもとに、コラーゲンをたくさん含んでいるフード食材を紹介します(2012年)。
肉類
まずはペットフードの中心となるタンパク源である肉類です。肉100gあたりのコラーゲン量は次のようになっています。
〇牛肉 …肩肉(750㎎)、スジ(4,980㎎)
〇豚肉 …小間肉(1,190㎎)
〇鶏肉 …もも肉(1,560㎎)、軟骨(4,000㎎)
コラーゲンはアキレス腱などのスジ肉や軟骨部分に豊富に含まれています。スジとは骨と筋肉をつないでいる部分、軟骨は骨と骨をつなぐ関節部分のことです。このようにコラーゲンは、食べづらく硬い部分のタンパク質であることが判ります。
魚類
次は魚です。ここでとても興味深いのは、同じ魚でも皮を除いて食べるか、皮つきで食べるかでコラーゲン摂取量が大きく違ってくるという事です。動物でも魚でも、皮の部分にコラーゲンはたっぷり存在しています。
魚100gあたりのコラーゲン量
〇サケ …皮なし(820㎎)、皮あり(2,410㎎)
〇ブリ …皮なし(970㎎)、皮あり(1,620㎎)
皮を含まず白身魚の身(筋肉)部分で作られるカマボコのコラーゲン量は380㎎しかありません。これに対しサメのヒレ部分であるフカヒレは、9,920㎎と飛び抜けた量を含んでいます。
高級食材のフカヒレをペットに与えるかどうかはみなさんにお任せするとして、ここでも食べづらい皮やヒレ部分にコラーゲンはたくさん含まれていることが判ります。
調味料
最後に意外なところで調味料を見てみましょう。
調味料100gあたりのコラーゲン量
〇コンソメ顆粒(80㎎)
〇だしの素粉末(300㎎)
〇かつおだし(60㎎)
〇鶏ガラ粉末スープの素(2,690㎎)
先ほど肉類のところで、鶏軟骨は4,000㎎ものコラーゲンを含んでいることを紹介しました。同じく鶏ガラ/鶏軟骨から作った粉末スープにも多くのコラーゲンが含まれているというわけです。
フィッシュコラーゲンとは?
動物の骨やスジ、そして皮にたっぷりと含まれているコラーゲンですが、これを魚から取り出したものがフィッシュコラーゲンです。フィッシュコラーゲンはマリンコラーゲンとも呼ばれており、新たなコラーゲン源として注目を集めています。
魚の皮とウロコ
フィッシュコラーゲンとしての具体的な原料は皮(魚皮)とウロコ(魚鱗)です。このうち、皮として活用されているものにサメがあります。
サメの身(筋肉)はアンモニア臭がするため食材として適していませんが、ヒレの部分はフカヒレとなります。サメからフカヒレを取った残り部分として、骨(サメの場合は軟骨です)はコンドロイチン硫酸、そして皮の部分はコラーゲンの原料として利用されています。
また、ウロコは白身魚ではカマボコなどのすり身加工食品、青魚では魚粉/魚油を作るときに廃棄物として大量に出てきます。
このように今までは捨てられていた魚の骨・皮・ウロコが、現在ではフィッシュコラーゲンの原料として新たな活用法が広がっています。
魚皮・ウロコのタンパク成分
動物や魚を問わず、骨・皮・ウロコにはタンパク質が含まれています。皮はともかく、ウロコに含まれているタンパク質の量はほんのわずかのような気がします。
ゼラチン原料としての骨・皮・ウロコ100gあたりのタンパク質量を調べた結果では次のようになっています(鈴木啓仁 新田ゼラチン㈱ 2004年)。
〇骨 …牛骨(20~30g)
〇皮 …牛皮(30~50g)、豚皮(20~30g)、魚皮(10~60g)
〇ウロコ …魚鱗(30~65g)
意外なことにウロコの健闘が目立っています。ウロコは魚の皮膚が変化したものですから、コラーゲンなどタンパク質を含んでいても不思議はありません。ウロコは牛皮や豚皮と比べても見劣りしないゼラチン原料であるといえるようです。
ウロコ中のコラーゲン
みなさんは家庭で魚のウロコをおろす機会はありますか?ウロコはプラスチックのような硬くペラペラした感触がありますが、いったい何から出来ているのでしょうか。
タイ(鯛)やイワシ(鰯)のウロコ成分を調べた報告があります(浜田盛承ら 1988年、竹中敦司ら 2004年)。これによるとおよそ60%はハイドロキシアパタイトという無機成分であり、残り40%前後がコラーゲンになります。
皮と違ってウロコからコラーゲンを取り出す場合、このハイドロキシアパタイトが少々邪魔になります。これを受けて現在各地の大学や水産試験場では、タイ(鯛)など魚のウロコからコラーゲンを効率よく取り出す技術の研究開発が行われています。
現在フィッシュコラーゲン源として商品化に成功しているものに、テラピア(ティラピア)のウロコがあります。
テラピアは白身の淡水魚でタイ(鯛)に似た味わいがある魚です。スーパーの鮮魚売り場で見かけることはありませんが、白身魚フライの材料として利用されていて、実は私たちもよく食べています。
魚の切り身などの水産加工食品の製造時には、魚皮やウロコが廃棄物として排出されます。海産資源を無駄なく利用するという点からも、魚のウロコは大変有望なコラーゲン源といえます。
今回はゼラチンやコラーゲンペプチドの原料となっているコラーゲンを含んでいる食材について見てみました。コラーゲンはタンパク質ですが、骨・軟骨・スジ・皮・ウロコといった、食べづらい/食べられない部分に豊富に存在しています。
オーナーのみなさんがペットにコラーゲンを食べさせたいと考える場合、メインのフード材料というよりは、スープやおやつといった形で与えるのが良いでしょう。またフィッシュコラーゲンサプリメントという形で利用することもできます。
愛犬・愛猫の健康管理のために、それぞれの家庭に合った形でコラーゲンを上手に活用されるのが良いと考えます。
(以上)
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執筆獣医師のご紹介
本町獣医科サポート
獣医師 北島 崇
日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。