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お散歩デビューのタイミング
前回(犬の性格は1歳までの環境や過ごし方で変わる?子犬のしつけについて)、子犬にとって生後14週齢頃までに人間社会の様々な刺激に慣れさせておくことはとても大切だとお話し致しました。
しかし、動物病院で、
「最終のワクチンが終わって1週間くらい経つまでは外に出さないで下さい。」と獣医さんに言われた経験がある方もたくさんおられると思います。その時期の説明の不一致についてお話致します。
お散歩デビューは子犬を家族に迎え入れられてなるべく早い時期から少しづつ人間社会に慣らしてもらうのが理想的ですが、最終ワクチンが終わってから1週間ぐらいしないと伝染病に対する抵抗力はついていません。
つまり、この時期は子犬の心の健康のためには外出に慣れさせておいたほうが良く、体の健康を考えると外出させるにはまだ少し不安な時期なのです。
私も犬の体の健康を守る立場の獣医であれば、「ワクチンが終わっていなくても散歩に行ってもいいですよ」とは簡単には言えないと思います。
しかし、人間社会に慣れていなくて怖いものがたくさんあり、問題を抱えている犬と、そのために大変な苦労をしている飼い主さんを見ていると、体の健康も大切ですが、心の健康も大切だと痛感します。
心の健康を考えられた方と、体の健康を考えられた方
実は私も訓練の勉強をするまでは、「最終ワクチンが終わるまでは体の健康のため、外に出さないのは当たり前。」と、思っていました。
しかし、人間社会に慣れる大切な時期の勉強をして、獣医さんの言うことをきちんと守り4ヶ月近くまで外に出さなかった子犬の方が、人間社会や他の犬を怖がり、慣れるまでに相当な時間を苦労をされるのをたくさん見て、感染症のリスクもありますが早い時期に人間社会に慣らしてもらったほうが犬の心の成長にはいいことを、どちらも飼い主さんに伝えて判断してもらうことにしています。
M.ダックスのリュウくん
生後12週齢でペットショップから購入され、獣医さんで言われた最終ワクチンが終わるまでをきちんと守り、17週齢まで全く外に出しませんでした。いざ初めて外に出ると震えて動かず、怖がって人や犬、バイクに吠えてしまう子になってしまいました。
M.ダックスのコエビちゃん
生後6週齢でブリーダーから購入され、最終ワクチンが終わるまで外に出さない方がいいことをご存じなく、1回目のワクチンが終わったらすぐに散歩デビューをされました。
どこに行っても怖がらず、明るくて犬友達の多いコエビちゃんに成長してくれました。
生まれ持った性格もありますが、同じ犬種でもお散歩デビューのタイミングで大きく変わってきます。最終ワクチン終了前にお散歩デビューさせることのメリット・デメリットを含めて飼い主さん自身が判断して下さい。
子犬の主な感染症
○狂犬病・・人間にも感染する動物由来感染症、狂犬病ウイルスに感染した動物に噛まれると感染する。発症すると2週間以内に死亡。ただし、日本では長期に渡り確認されていない。
○犬ジステンバー・・呼吸器、消化器系の病気で飛沫感染で発症。後遺症が残る場合もあります。
○犬パルボウイルス感染症・・伝染性が強く重症化すると脱水状態になり死亡率も高い。
○犬パラインフルエンザウイルス感染症・・伝染性が強く風邪のような症状が出る。二次感染などにより死亡する事もある。
○犬アデノウイルス2型感染症・・他のウイルスとの混合感染により重症化し、死亡する事もある
○犬コロナウイルス感染症・・子犬の場合に重度の下痢、嘔吐などの症状が見られる
感染症にかからないために
犬の社会性、心の健康のためと感染症にかからなくするには1回目のワクチン後は抱っこしたままの散歩なら危険度は大幅に下がります。
また、義務である狂犬病以外のワクチンを検討する場合、室内飼いと外飼い(庭など)の場合はリスクはまったく違い、室内犬が室内にいる限りはリスクはほぼありません。
最後に散歩の仕方でも電柱の匂いを嗅ぐのは情報収集、ストレス緩和に役立ちます。
沢山の犬がひしめき合う様な散歩コースを選ぶのはあまりオススメしませんが近所の愛犬と毎日のように出会うのも愛犬の楽しみのひとつとなるような散歩の仕方を実践していただければと思います。
愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修
代表取締役 川瀬 隆庸
- 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
- 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
- ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
- 小動物栄養管理士認定
- D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
- 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
- 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了
愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。