ペットとの生活に関する記事

【獣医師が解説】ペットとの生活編: テーマ「ペットと一緒にドライブ」

「本町獣医科サポート」の獣医師 北島 崇です。            
みなさんは車を運転されますか?休みの日にはペットと一緒に少し遠出をしたいと考えるオーナーも多いのではないでしょうか。
今回はペットとのドライブの現状を紹介します。

ペットとのドライブ

「愛犬とのお出かけ・ドライブに関する調査2017」というアンケート結果があります(㈱ホンダアクセス調べ 2017年)。
ペットとのドライブを楽しんでいるみなさん、またこれからドライブデビューを考えている方々にとって大変興味深い内容です。

ドライブの目的

ペットを車に乗せて行くところとしては、動物病院やトリミングのお店があります。
また郊外の広い公園やドッグランなどもあると思います。
さらにはオーナー自身がドライブ好きで、ペットも連れていくという場合もあるでしょう。

近年では「ペットツーリズム」といって、観光地へのペットとの同伴旅行が増えてきています。
このペットツーリズムについては、また改めてお話ししましょう。

ドライブの頻度

今回紹介するアンケートの対象者は全国の自家用車を保有する愛犬オーナー1,000人です(30~60代の男女)。
では結果を見てみましょう。

質問:どれくらいの頻度で愛犬をドライブに連れて行っていますか?
…週に1回(13.2%)
…月に1回(13.7%)
…半年に1回(8.6%)
…年に1回(4.6%)

累計として全体のおよそ半分(49.1%)のオーナーは、月に1回以上愛犬とドライブされているようです。
また「ほぼ毎日ドライブをしている」という回答は5.4%でした。
ペットとのドライブ頻度は、目的や行き先によってさまざまです。

ドライブのためのトレーニング

これからペットとのドライブデビューを考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、デビューを失敗すると以降はドライブ嫌いなペットになってしまうかもしれません。

車の好き嫌い

ドライブ以前に、みなさんの愛犬は車という乗り物が好きですか、それとも苦手ですか。

質問:愛犬を車に乗せようとすると喜びますか、嫌がりますか?
…喜ぶ(32.5%)、どちらかといえば喜ぶ(38.1%)
…どちらかといえば嫌がる(19.5%)、嫌がる(9.9%)

全体のおよそ70%の愛犬は車好きで喜んで乗り込むという結果ですが、これには飼育環境が関係しているようです。
室内飼育犬(883頭)では喜ぶ派は73.2%、これに対して屋外飼育犬(117頭)の喜ぶ派は51.3%と低い値です。

屋外犬は車の中という狭い環境に入ることに対して、不安や警戒感を持つ傾向があります。
このような場合は、実際にドライブに行かなくても、日頃から車内に乗り込む遊びやエンジン音に慣れさせる練習をするのが良いでしょう。

トレーニング法

イヌは大変頭が良い動物ですので、ドライブデビューを失敗すると車嫌いになってしまいます。
現在、ペットとのドライブを楽しんでおられるオーナーはどのようなトレーニングを行って愛犬を車好きにしたのでしょうか?

質問:どのようにして愛犬を車に慣れさせましたか?
…短時間のドライブから徐々に慣れさせた(22.8%)
…いつも以上に安全運転を心がけた(15.4%)
…車内温度に気を配った(11.9%)
…好きな場所に頻繁に連れて行った(11.0%)
…エンジンを止めた状態で車に乗せて慣れさせた(9.7%)
…クレートに入ることから慣れさせた(6.8%)

オーナーのみなさんは、あの手この手で愛犬に嫌な思いをさせないように工夫されているようです。

安全なドライブ

街を歩いていると、車の窓から顔を出して外の様子を見ているイヌを見かけます。
外に飛び出してしまわないかと心配になることがあります。

助手席に乗せたいオーナー

「うちの子はおとなしいから…」といって、そのまま助手席に座らせたり、抱っこした状態で膝の上に乗せて運転している方はいませんか。

質問:安全ならば、愛犬を助手席に乗せてドライブしたいと思いますか?
…とてもそう思う(23.4%)、ややそう思う(27.2%)
…あまり思わない(16.4%)、まったく思わない(15.0%)
…どちらともいえない(18.0%)

全体のおよそ半分のオーナーは、車の運転中すぐに目の届く助手席に愛犬を置きたいと考えているようです。
なお、この傾向はイヌのサイズが小さいほど高く、小型犬55.7%、中型犬42.7%、大型犬では25.0%という結果でした。

ペットの車内状態

安全なドライブのためには、ペットをどのような状態で乗せるかが大切です。
ドッグトレーナーの戸田美由紀は、家族と一緒にフリーな状態で乗せるのは避けるよう次のように指導しています(2013年)。

○ハーネスとリードで固定する
…フリーな状態では車内を自由に動き回り危険
…窓が開いていると外へ飛び出るリスクもある
…車内でもハーネスを付けて、リードを座席に固定する

○クレートに入れる
…グラグラ揺れると車酔いをするためしっかりと座席に固定する
…クレートは運転席と後部座席の間の床に置くのも一案

○ラゲッジスペース(荷室)を利用する
…大きなバリケンネルは後方の荷室に置く
…床には滑り止めマットを敷き、動かないように工夫する

ペットの座席位置

このように安全面から考えるとペットはクレートに入れておくのが良いのですが、健康状態の観察やいつも触れていたいという場合は、リードで固定して後部座席に乗せます。
この時、みなさんなら愛犬を車道側に座らせますか、それとも歩道側に座らせますか?

答えとしては、ペットの座席は車道側(=奥の方)をおすすめします。
乗車時はまず愛犬を乗せてリードを座席に固定し、その後家族が歩道側(=手前側)に座ります。
降車時はリードを持った状態で先に降りてから愛犬を降ろします。
この座席位置にすると、乗降時にペットが不意に車外に飛び出すのを防ぐことができて安心です。

いくらしつけがしっかりできていても、ドライブ中は他の車のクラクションや急ハンドル急ブレーキなど、思いもかけないアクシデントでペットが驚く場合があります。

楽しいはずのドライブが事故で台無しにならないためにも、ペットはクレートやバリケンネルに入れる、もしくはリードを座席にしっかり固定して目的地まで安全に運転して下さい。

ドライブグッズ

最後にペットとの安全で快適なドライブのためにぜひ準備しておきたいグッズを紹介します。

欲しいドライブグッズ

ペットとのドライブを楽しむオーナーは、どのような物があると便利だなあ、助かるなあと思っているのでしょう。

質問:愛犬との快適なドライブのために欲しいカーアクセサリーは?
…車内のそうじが楽になるペット用シートマット(35.7%)
…愛犬が快適に過ごせるクッション(26.7%)
…助手席に固定できるケージ/クレート(18.6%)

これらがトップ3ですが第4位:汚れ物や小物専用の収納スペース(17.1%)、第5位:急な飛び出しを防ぐリードフックやハーネス(16.5%)が続きます。
やはり一番ニーズが高いのはシートの抜け毛やヨダレ汚れなどのそうじ対策グッズでした。

愛犬サイズとグッズ

この欲しいドライブグッズですが、愛犬のサイズによりオーナーの回答が大きく異なるものがあります。

《大型犬でのニーズが高いグッズ》
○ペット用のシートマット
…全体(35.7)
…小型犬(34.6%)、中型犬(35.7%)大型犬(50.0%)

○車への乗り降りが楽になるスロープ
…全体(8.3%)
…小型犬(6.5%)、中型犬(9.2%)大型犬(26.9%)

《小型犬でのニーズが高いグッズ》
○助手席に固定できるケージ/クレート
…全体(18.6)
…小型犬(21.6%)、中型犬(13.2%)大型犬(7.7%)

大型犬では抜け毛のそうじが大変です。
また車高が高いワゴン車の場合、自力での乗り降りはキツそうです。(健康な中型/大型犬が無理なく乗降できる車高は65㎝程度だそうです。)
このような時には乗降用のステップやスロープがあると便利です。

また先ほども紹介しましたが、小型犬では隣の助手席に置いておきたいオーナーが多いために、しっかりと固定ができるクレートの人気が高くなっています。

気が付けば昼間の日差しも少しずつ和らいできて、遠出のドライブをするのには良い季節になりました。
オーナーのみなさんは安全運転に努めペットとのドライブを楽しんで下さい。
次回はペットの車酔い対策について考えます。

(以上)

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執筆獣医師のご紹介

本町獣医科サポート

獣医師 北島 崇

日本獣医畜産大学(現 日本獣医生命科学大学)獣医畜産学部獣医学科 卒業
産業動物のフード、サプリメント、ワクチンなどの研究・開発で活躍後、、
高齢ペットの食事や健康、生活をサポートする「本町獣医科サポート」を開業。

本町獣医科サポートホームページ

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