目次
愛犬の総合栄養食と一般食の選び方
1.総合栄養食と一般食の違い
総合栄養食とは犬や猫に与える食事として作られたものであり、日本ではAAFCOの定められた必要な栄養を満たしているものになります。
総合栄養食はペットフード公正取引委員会の定める試験によって認定されたものだけが総合栄養食と表示することができます。
このフードだけを与えて入れば大丈夫だという販売方法でドライフードだけを与えている飼い主さんも少なくはありません。
また日本ではAAFCOの栄養基準で総合栄養食かが決まりますがヨーロッパのフードの中には総合栄養食と同じような基準で決められたコンプリート食というフードもあり、総合栄養食ではありませんが同等の扱いをする事ができます。
一般食は総合栄養食の栄養基準はすべて満たされていませんが他の補助食等と摂取することでより自然で健康的な主食となりえるフードです。
一般食は栄養の制限のない食事で体調の変化などに対応して目的とする栄養を摂取できます。
たんぱく質の制限やリン等のミネラルの制限などにも対応できます。
高水準の一般食は無添加(食品のみ)で作られているものもあります。
総合栄養食、一般食ともドライフード、ウエットフードともに販売されていますが一般食のほうがスープなど形状も豊富で嗜好性に優れているのも特長です。
2.総合栄養食と一般食のメリット
総合栄養食は定められた栄養素を満たしているものですがその栄養素も現時点での必要とされる栄養素が含まれているものであって、今後、必要とされる栄養素が追加されたりするものなので総合栄養食を過信することは危険です。
またドッグフードとして栄養素は存在していても消化、吸収については全く別の話になるので生肉や手作り食などの活きた栄養を摂取する事が大事になってきます。
ドライフードだけを食べている愛犬は高齢になり突然、生肉やローフードに切り替えるのを躊躇される飼い主さんも多く、若い頃からドライフードだけでなく自然な食事を心がけて、ストレスのない生活や適度な運動をする事が愛犬の健康な生活にとって大切な物となります。
ドライフード以外にもローフードや缶詰の総合栄養食もあるのでそうしたフードを食べれるようにするのも老齢期に困らない備えとなります。
総合栄養食のメリット
○総合栄養食と水さえあれば健康に生きていけるとする食事
○飼い主さんの安心感
○利便性
総合栄養食のデメリット
○あくまで現段階での栄養基準の満たされたフードであり完全な物ではない。
○あくまでフードに栄養が満たされているのであり消化吸収できるかは別問題
○栄養基準を満たすために添加物が必要であり、その質には注意が必要
一般食のメリット
○高水準の一般食は無添加(食品のみ)で作られている。
一般食のデメリット
○これだけ与えていればよいとメーカーが保証していない。
○栄養補助食が必要とされている。
総合栄養食の中でも大きく分けて2種類あります。
穀物不使用フードと穀物を使用しているフードです。
穀物不使用フードのメリット
○グレインなどのアレルギーを持つ愛犬には有効である
○たんぱく質が豊富である。
穀物不使用フードのデメリット
○たんぱく質が多い傾向にある為、肝臓や腎臓への疾患とつながらないか?
○総合栄養食にするため添加物が多い傾向がある。
穀物を使用している良いフードもあります。
1例をあげると玄米と大麦などはアレルギーが出にくく難消化性デンプンなのでゆっくり消化され食物繊維が大腸まで運ばれ善玉菌のエサとして腸内環境の健康を維持します。
また生肉使用、炭水化物のアルファ化、ミネラルのキレート化
添加物不使用で食材だけで作られたもの。
ノンオイルコーティングで酸化した脂を摂取しないように考えられたフードがあります。
3.ドッグフードのたんぱく質
愛犬は完全な肉食動物ではありませんが必須アミノ酸は身体の維持、エネルギーの燃焼として必要です。
たんぱく質はアミノ酸に分解されて筋肉や身体のすべてに使用されますが一定量使用されるとエネルギーとして活用されます。
アミノ酸に分解するためにも消化というエネルギーが使われますので摂取するたんぱく質の質が大事になります。
良質のたんぱく質とは熱による変異されていない生肉が最適なものとなります。
手作り食で熱を加えて肉を食べさせたい場合も表面をあぶる程度に焼いたりして与える事をお勧めします。
ドライフードを与えたい場合も生肉から加工されている物と肉粉などから加工されている物では大きくたんぱく質の質が変わってくるので注意が必要です。
4.ドッグフードの炭水化物
愛犬は炭水化物の消化が苦手だと言われていました。
それは犬の唾液にはデンプンの消化酵素であるアミラーゼが殆ど含まれていないためです。
しかし近年の研究によりドライフードの炭水化物は熱による製造工程でα化(のり状)され温度が下がらないうちに水分を抜くことによって
α化されたままの愛犬が消化できる状態を維持する事ができます。
小麦や米、トウモロコシなどを含むフードのデンプン成分はほぼ(99%以上)消化されていたことも研究により発表されています。
その消化された炭水化物は小腸で消化され即効性の高いエネルギー源となります。
ただしセルロースなどの食物繊維は難消化性で腸まで消化されずに届きます。
しかし良性菌のエサとして腸内環境をサポートする働きもあります。
AAFCOでは炭水化物の必要要求量は定められていませんが、高エネルギーが必要とされるステージでは適切な炭水化物摂取が必要とされるため、
成長期(子犬)には20%以上の炭水化物が含まれるべきだと考えられています。
また、エネルギー消費量が高くなる妊娠期や泌乳期の雌犬には最低で23%の炭水化物が推奨されており、デンプンが多少過剰でも問題はないという意見もあります。
近年、愛犬の高齢化が進み、肝臓や腎臓の疾患が目立ち腎臓が悪くなると必要最低限の良質なたんぱく質と脂質、炭水化物で食事を摂らなければなりません。
ですから若い頃からある程度、タンパク質、脂肪、炭水化物のバランスの良い食事が理想と考えられます。
5.ドッグフードの脂質
第一エネルギー源が炭水化物の人と違って愛犬の第一エネルギー源は脂肪とたんぱく質になります。
特に脂質はたんぱく質の2倍のエネルギーを生み出します。
膵臓への負担や肥満への不安で低脂肪フードを選ぶ飼い主さんもいますがたんぱく質や炭水化物と同様に質が大事です。
ドライフードの脂質は開封後、酸化が進みますので開封後は短期間で消費するのが理想です。
ウエットフードだと1食、または2食程度の商品が多いので酸化に関してはドライフードより優れています。
しかしローフード以外のドッグフードは熱による酸化があるので脂質だけに注目しても愛犬には生食がお勧めになります。
また必須脂肪酸で特に摂取が難しいオメガ3オイルも酸化しやすいので熱を加えていない新鮮なものを摂取するようにしましょう。
6.ドッグフードのミネラル
たんぱく質は消化分解されペプチドになります。
ペプチドはアミノ酸が2~49種個連鎖したもので、そのペプチドがさらに分解された物がアミノ酸になります。
アミノ酸は消化の必要がないので吸収されやすい状態になります。
ビタミンやミネラルは単独では身体に吸収されません。小腸でペプチドと結合することによって血液を巡り、必要な身体の部分で使われることになります。
この結合をキレートといい、高品質のドッグフードはキレート化されたミネラルを使用しています。
7.総合栄養食と一般食のまとめ
総合栄養食の利便性は忙しい飼い主さんにとって魅力的なものではありますが原材料の質と添加物にはこだわって商品を選ぶ必要があります。
特にドライフードの総合栄養食はコスト面でも安価にできる面もありますが品質にはご注意ください。
一般食もすべてが良いわけではなく栄養面を飼い主さんが考えながら与えていかなければならない問題があります。
一般食でも主食としておすすめしているメーカーもあり、その一般食と質の悪い総合栄養食とを比較すれば間違いなく一般食の方をお勧めします。
特に高齢になり腎臓の数値が悪化するとたんぱく質、リン、カリウムなどの制限、膵臓に問題があると脂質の制限など難しい問題がありますが
獣医がすすめる療法食も長期に渡っては他の臓器に負担がかかるなど一般食や手作りの食事で愛犬の健康を維持するのが理想と考えられます。
あわせて読みたい愛犬の食事に関する情報
(以上)
愛犬に生肉を与え続けて10年の川瀬隆庸が監修
代表取締役 川瀬 隆庸
- 社団法人 日本獣医学会 正会員 会員No.2010172
- 財団法人 日本動物愛護協会 賛助会員(正会員)No.1011393
- ヒルズ小動物臨床栄養学セミナー修了
- 小動物栄養管理士認定
- D.I.N.G.Oプロスタッフ認定
- 杏林予防医学研究所毛髪分析と有害ミネラル講座修了
- 正食協会マクロビオティックセミナー全過程修了
愛犬の健康トラブル・ドッグフード・サプリメントなどアドバイスをいたします。