「私とみーこ」
受注、発送担当の佐々木です。私がずっと一緒にいたネコについて、少しお話ししたいと思います。
私が育ったところは、岡山県の山奥の、「超」がつく田舎の町です。
電車は通っていません。バスは1日4本です。
道を歩けばイノシシの親子に出会ったり、小学校に猿が現れて暴れたりといったこともしばしばありました。
さて、そんな環境で育った私ですが、物心がついたときには常にネコが一緒にいました。
私が覚えている限りで、1匹もいなくなったことはありません。
お恥ずかしい話ではありますが、ネコに去勢をすると言う概念に、極端に欠けた環境だったと思います。
ネズミやモグラもよく出たので、祖父母はそれを退治させる役割として飼っていたのかもしれません。
その概念のまま時が経ち、私はネコと共に成長し、
歩いて20分程度の場所にある小学校に通うようになりました。
1学年が14人ほどでしたので、近所といっても山ひとつ向こうが当たり前でした。
ですので友達と登下校すること自体がなく、ひとりで通っていました。
友達と遊ぶときには1度家に帰って自転車に乗るか、
誰かの車に乗せてもらって遊びに行くかのどちらかでした。
その頃いつも一緒にいた愛猫は「みーこ」と呼んでいました。
みーこは雑種のメスで、ミケの毛色が強い子でした。
おっとりした性格で、何をやっても怒らず、日向ぼっこが大好きでした。
いつも玄関先の階段にちょこんと座っていました。
そこがみーこの定位置です。
ただいまと声をかけると、いつも軽く「ナー」と鳴いて返事をしてくれました。
ある日私は、先生にこっぴどく怒られてしまいました。
そうじの時間に、ほうきのブラシの部分を踏みつけ、上に乗って遊んでいたせいです。
でも当時の私には怒られた理由が全くわかりませんでした。
なぜそこまで怒られなければならないのか、と泣きながら帰ろうとしたときでした。
「ナー」
ふと、聞き覚えのある鳴き声が聞こえました。
みーこでした。
学校のすぐそばまで迎えに来てくれていたのです。
人間の足で歩いて20分もかかるところなのに、
1度も学校に来たことがないはずなのに、です。
いまだに不思議です。
外飼いだったみーこの、お散歩コースのひとつがたまたま学校のそばだっただけなのかもしれません。
私はみーこを見つけるなり泣きじゃくり、抱いて帰りました
。
なんというタイミング。
驚きとうれしさで一気に幸せな気持ちになったのを覚えています。
それからほぼ毎日、学校のある日はみーこがお迎えに来てくれました。
チャイムがわかっているのか、終わる頃には計ったように、
かならず同じ場所で待っているのです。
毎日の楽しみは、みーことの下校時間でした。
突然、みーこはいなくなりました。
何日経っても家に帰ってきません。
祖母が、「猫はね、死期を悟ると自分から住む場所を去るんだよ」と教えてくれました。
みーこは天国に行ってしまいましたが、
私のそばには常にみーこの血をひく子がいてくれました。
何度も悲しい別れはありましたが、みんな私に何かを教えてくれました。
いま、私はハウンドカムに入社し、愛犬・愛猫の病気やフードのことを詳しく知る機会を得ました。
当時、私がこれを知っていたなら。
みーこにもっと喜んでもらえたのかなぁ・・・。
そんな風に切なくなるときがあります。
いまはマンション住まいでネコは飼えませんが、もしこの先飼うことがあったなら。
もっともっと勉強して、
みーこにしてあげられなかったことをたくさんしてあげたいと思っています。
晴れた日の夕方、外をひとりで歩いていると、みーこのお迎えを思い出してほっこりします。